サイパンで激戦80年の式典 「日米同盟で平和維持を」

15日、米自治領の北マリアナ諸島のサイパン島で記念式典に参加した米軍人ら(共同)

 【サイパン共同】米国自治領の北マリアナ諸島のサイパン島で15日、太平洋戦争での日本敗戦を決定付けた「サイパンの戦い」から80年の記念式典が開かれた。激戦を生き抜いた日米の軍人は既にほとんどが世を去り、式典で姿は見られなかった。出席者らは戦争を再び招かないよう悲惨な歴史を語り継ぎ、日米同盟を基盤に平和を維持すべきだと訴えた。

 1944年の戦いで米軍が制圧するまで、島は30年間にわたって日本が統治。沖縄県などから移住した民間人が戦火にさらされ、崖から身を投げる自決者が相次いだ。先住民チャモロ人も多くが犠牲になった。

 式典を主催したサイパン市のカマチョ市長は「戦いは本当に血みどろだった」と共同通信に語った。祖父からは、自分たちチャモロ人が日本統治下で自由を奪われ、日本語教育を強制されたとの話を聞いたという。憎しみを克服し多人種が共生するようになった島の歴史を「日米の若者世代にぜひ知ってもらいたい」と強調した。

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