阪神4位にイッキ転落 打線組み替えも実らず 岡田監督、貯金「またゼロなったいうことやろ」仕切り直し強調

 9回、森下(手前)が二飛を打ち上げ連敗を喫する阪神ナイン(撮影・立川洋一郎)

 「ソフトバンク6-2阪神」(15日、みずほペイペイドーム)

 岡田阪神は打線組み替えも実らず完敗し、2カード連続負け越しが決まった。1番に近本光司外野手を戻し、4番に佐藤輝明内野手を置いたが、好機で決定打を欠いた。勝率5割に逆戻りで、巨人、DeNAに抜かれて一気に2位から4位に転落。岡田彰布監督(66)は「また(貯金が)ゼロなったいうことやろ」と語り、仕切り直しての反攻に期待を寄せた。

 負の流れが止まらない。深刻な貧打を打開すべく岡田監督は打順を大きく入れ替えた。近本を5月31日・ロッテ戦(ゾゾ)以来13試合ぶりとなる1番に据え、2番・中野との“チカナカ”を復活させた。さらに4番を4月14日・中日戦(バンテリン)以来、今季2度目となる佐藤輝に託した。

 「いい形なっとったらタイムリー出なあかんやん。いい形とか、なんぼ形作っても、点取らなあかんねんから。そこで打つか、打たへんかいうことやろ」

 岡田監督が嘆いたように、初回の攻防に両チームの現状が顕著に現れた。阪神は近本が三塁内野安打で出塁すると、続く中野の打席で二盗に成功。無死二塁と先制機を作ったが、中野は3ボールからストライクを2球見送った後、左飛に倒れ、走者を進めることができなかった。さらに森下が空振り三振、佐藤輝は右飛で無得点に終わった。

 対するソフトバンクは先頭の周東が中前打から二盗。阪神と同じように無死二塁の状況を生み出すと、今宮がファウルで粘りながら10球目で四球を選んだ。栗原が犠打を決めて1死二、三塁と好機を拡大させると、最後は2死二、三塁から近藤が左中間へ先制3ランを放り込んだ。

 無死二塁から無得点と3得点という大きな差が生まれた。指揮官も「そら、初回3点は重いよ。今の状況から言ったら」と渋い表情を浮かべた。

 6点差とされた六回は1死二、三塁の好機を作ったが、前川の一ゴロで1点を返すのみ。七回の無死二塁も木浪、梅野が連続三振に倒れ、近本も左飛に終わった。八回は無死一、二塁から佐藤輝、前川が凡退し、糸原の適時打のみと複数得点が奪えない。近本は「まあ、いろいろあるので」と歯切れが悪かった。

 交流戦は6カード中5カードで負け越しとなった。巨人、DeNAが勝ったため、試合前の2位から一気に4位まで後退。4月16日以来のBクラスに転落した。貯金も再び底を突いたが、岡田監督は「また(貯金が)ゼロなったいうことやろ」と仕切り直しを強調した。中野は「あまり苦しい、苦しいと思い過ぎてチームの雰囲気が重くなるのも嫌。その試合を勝つことだけを考えてやる」と選手の思いを代弁した。博多の地で一矢報いて聖地へと戻る。

 ◆阪神の順位“一気落ち” 阪神では2021年8月29日に首位から3位へ転落した例がある。この時、阪神は広島に敗れて55勝41敗3分けで勝率.5729に。一方、2位だった巨人が中日戦に勝利して50勝37敗12分けの勝率.575で首位浮上。3位だったヤクルトがDeNA戦に引き分けて47勝35敗11分けで勝率.5731となり2位となった。この時点で阪神は最も多い貯金14だったが、引き分け数の差で勝率を上回られ首位・巨人とマイナス0.5差、2位・ヤクルトとマイナス1差という珍しい現象が生じた。

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