A型事業所 廃止や規模縮小相次ぐ 岡山県内、300人余り解雇へ

 障害者が働く岡山県内の「就労継続支援A型事業所」のうち、6月1日時点で11事業所が相次いで廃止や規模縮小を決め、同月末までに300人余りが解雇される見通しであることが15日、岡山労働局への取材で分かった。国の2024年度報酬改定で、経営状況が悪ければ補助を減額する仕組みになり、収益力の乏しい事業所が運営の継続を断念しているとみられる。

 廃止を決めた事業所や離職者が、雇用契約を結ばない「B型事業所」に移るケースもあるが、現時点で全容は不明。県内でA型とB型とでは障害者が手にする月収(賃金や工賃)に約7万円の開きがあり、暮らしへの影響も懸念される。A型の就労希望もあり、国や自治体、事業所の連携した支援が課題になりそうだ。

 岡山労働局のまとめでは、廃止や規模縮小は岡山市7事業所、倉敷市4事業所で、解雇は計309人。5月1日時点では岡山市5事業所、倉敷市3事業所の計204人だった。1カ月間で3事業所、解雇は100人余り増えており、動きが拡大する可能性もある。

 今回の改定は事業所の経営改善や、障害者の一般就労に向けた取り組みを強化する狙い。報酬を算定する評価点(スコア)を見直し、生産性を高めたり、一定の労働時間を確保したりすれば配点を増やす一方、3年連続で賃金を収益で賄えない場合などは減点する方式が導入された。

 岡山県内のA型は122事業所(4月1日時点)。70事業所が加盟するNPO法人「A型事業所協議会」の会員アンケートでは、今後も廃止やB型への移行が進み、解雇は来年3月までに約460人に膨らむという。

 就労継続支援A型事業所 一般企業への就職が難しい障害者が福祉的支援を受けながら雇用契約を結び、最低賃金以上で働く。2006年施行の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で一般就労への訓練の場として制度化された。生産活動の収益とは別に、雇用保険の助成金や障害福祉サービスの給付金といった国の補助金を受けられる。障害の程度が比較的重い人が対象のB型は最低賃金が保障されない。

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