田原俊彦80枚目のシングル「愛だけがあればいい」あの80年代名曲のソングライターが集結!  トシちゃん80枚目のシングル「愛だけがあればいい」がいよいよリリース

田原俊彦80枚目のシングル「愛だけがあればいい」

デビュー45周年、田原俊彦の80枚目となる記念すべきシングル「愛だけがあればいい」が届いた。前作「ダンディライオン」が、彼のショーマンスピリッツを感じる最高に粋な出来栄えだったので、自然とハードルが上がってしまう。

なにせ彼のスタイルは変幻自在、バラエティ豊か。スタイリッシュなダンスをフルに見せてくる弾けたナンバーはもちろん “ウィスキーボンボン・ボイス” とでもいいたくなる、ねっとりとした甘い声を活かしたラブソングもまた魅力。お茶目なハッピーソングも、ハハハハハ!と字に書けるような笑い声を入れ、振り切って弾けてくれる。

さあ、今回はどう来る? いざプレイオンしてみると、流れてきたのは、力強いロマンティックにまみれた、愛・愛・愛の洪水!

「ごめんよ 涙」の松井五郎・都志見隆・船山基紀が集結!

やさしく語るような出だしから、哀愁とドラマ、その先の希望を感じるサビ。嬉しくなって制作陣を見ると、作詞・松井五郎、作曲・都志見隆。こっ、これは1989年の名曲「ごめんよ 涙」のタッグ! 

「ごめんよ 涙」は、1988年「抱きしめてTONIGHT」で再ブレイクを果たした田原俊彦に、もう一歩、大人の道を進ませたような楽曲であった。ダンサンブルではあるけれど、それ以上に寂しさも漂っていた。人生に必要な “さよなら” もあるのだと、じんわりくるような―― 。

冒頭にも書いたが、彼のアーティストとしての大きな魅力の1つに “声” がある。甘いだけでなく、どこかあまのじゃくな聴き心地。「ごめんよ 涙」は、ダンスよりその声が際立って「♪胸の夕陽が赤いから」という歌詞が、とても印象に残っている。

思い返せば、40周年の2019年にリリースされた75枚目のシングル「好きになってしまいそうだよ」も、やはり松井五郎と都志見隆が担当していたが、こちらも、彼の声が存分に生かされたバラードだった。踊らずとも、いくつになっても、多くの人が恋をする。“アイドル” として生きる、田原俊彦のパワーと表現力を感じさせた。

夢の大風呂敷を広げることができる「愛だけがあればいい」

それから5年後。この80枚目という節目にもまた、トシちゃんは、彼らが紡いだ “愛” を歌う。ピアノやホーンが多彩に絡まる編曲は、「ごめんよ 涙」で編曲を担当した船山基紀。エモーショナルにならないわけがないのだ。

「愛だけがあればいい」は、盛り上がり方、そして曲の終わり方などが「ごめんよ 涙」と通じ、勝手ながら、同じ主人公を想像しながら聴くと、とても楽しい。「ごめんよ 涙」で、「♪ひとつの季節だけには とまってはいられない 風をみつけた男は 夢を追いかけてく」「♪さよならもごめんよ」と歌った彼が、「♪まだ先へ行こう 僕は君を離さない」と、笑顔を見せ、迎えに来てくれたような嬉しさがある。

本当に勝手な妄想なのだが、いいのだ。歌の醍醐味は、聴き手がメロディーの隙間と、歌詞の行間に、どこまでも都合よく思いを巡らせ、夢の大風呂敷を広げることができる点にあるのだから。

トシちゃんではなく “アイドル・田原俊彦”

すでにデジタル配信は始まっており、CDの発売は6月19日。彼の公式YouTubeチャンネル『田原トシちゃんねる!』では、CD付属のDVDに収録されている、MVのメイキングを見ることができる。

小道具は椅子1つだけ。倉庫でも屋上でも、彼がいる場所が “キングの居場所である” というコンセプト。ミュージックビデオを担当した高畑淳史監督は、これまでは、時々見せるトシちゃんのおふざけも好きで、そういう映像もどんどん使っていたというが、今回は、ユーモラスな彼は抑えめにしたという。「今回は身近なトシちゃんじゃなくて、“田原俊彦さん” を撮りたかった。これまでは僕は、なんとなく『トシちゃん』を撮っていた気がして」この言葉こそ、この曲の魅力をすべて表している気がする。

“アイドルのトシちゃん” でも “アーティストの田原俊彦” でもなく “アイドルの田原俊彦” という、絶妙ながら、本当に難しい立ち位置。そこで、何にも代えがたい “愛” を歌うのだ。「屋上だったり倉庫だったり、遊ぶスペースはなかったじゃないですか。椅子一つで田原俊彦はどこまでその世界を支配できるか。撮ってみて、やっぱりすごいな。あの人は、世界を自分のものにしてしまうんだな」高畑淳史監督は、しみじみと呟いていた。

7月20日(土)からは、ツアー『TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2024 愛だけがあればいい』がスタート。全国20箇所で開催される。アイドル・田原俊彦は、立ち止まらない。どんどん先へ進むが、大丈夫だ。私たちを置いていくことはない。「♪僕は君を離さない」と手を伸ばしてくれる。

カタリベ: 田中稲

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