【マーメイドS】斤量は実力も評価された微減が狙い目 東大HCの本命はエーデルブルーメ

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例年は荒れる重賞も京都開催でどうか

日曜日、京都競馬場でGⅢ・マーメイドSが行われる。過去10年で4度の馬連万馬券が飛び出すなど、波乱が多いハンデ重賞だ。3連勝で愛知杯を制したミッキーゴージャス、福島牝馬Sを1番人気で制したコスタボニータ、2走連続逃げきり勝ちのベリーヴィーナス、阪神芝2000mを1分58秒8という好時計で勝利したエーデルブルーメ、2勝クラス勝利のアリスヴェリテ、ホールネスらも格上挑戦してくる混戦模様となった。

今年は例年とは異なる京都開催でさらに予想は困難。果たして今年も荒れるのか。今週も過去10年データから検討する。

穴は軽ハンデの4歳馬

<マーメイドSの斤量別成績>
基準より重い【0-0-1-7】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率12.5%
±0キロ【1-3-2-9】勝率6.7%/連対率26.7%/複勝率40.0%
-1キロ【2-1-3-15】勝率9.5%/連対率14.3%/複勝率28.6%
-2キロ【3-2-4-18】勝率11.1%/連対率18.5%/複勝率33.3%
-3キロ【0-0-0-19】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
-4キロ以上【4-4-0-50】勝率6.9%/連対率13.8%/複勝率13.8%

今回の争点はやはり斤量。今回はトップハンデがミッキーゴージャスの56.5キロ、最軽量の50キロとは6.5キロの差がある。これがどのような結果をもたらすのだろうか。

まず基準(※22年まで3歳51キロ、4歳以上55キロ、昨年からは3歳52キロ、4歳以上56キロ)より重かった組は成績不振で、馬券圏内に入ったのは14年3着フーラブライドだけ。ミッキーゴージャスには厳しいデータとなりそうだ。

ところが、基準と同じ斤量になる馬は複勝率40.0%と最も成績がいい。5番人気以内【1-3-1-6】、3番人気以内が【1-2-0-2】と人気通りで、今回56キロのコスタボニータは信頼できる。

基準より1キロ軽い斤量は今年該当馬(55キロ)がいないため割愛。-2キロは2番目の好成績で、今年も5頭が該当する。この斤量は前走3勝クラスだった馬に課されることが多く、その成績は【3-1-1-1】と圧倒的だ。エーデルブルーメが完全に合致しており、重い印を打ちたい。

意外にも-3キロだけは全滅で、掲示板に入ったのも2頭のみ。5番人気以内が9頭いてのこの成績は大不振と言っていいだろう。2戦連続逃げきりのベリーヴィーナスらがこのデータに該当する。

そして最も怖いのが-4キロ以上の馬だ。4勝8連対、勝ち馬は全て7番人気以下で、全馬ベタ買いしても単勝回収率は黒字。想像通り穴を空けている。参考になりそうなのが世代別で、4歳馬【3-2-0-21】、5歳馬【0-2-0-18】、6歳以上【1-0-0-11】と4歳馬優勢。アリスヴェリテ、ホールネスの激走には要警戒だ。

福永厩舎が初重賞制覇へ

◎エーデルブルーメ
デビュー戦を除くと掲示板を外しておらず、良馬場だと【3-3-4-1】と安定感抜群。ここ数戦は牡馬混合戦を使っている点も評価したい。前走のダイワスカーレットCでは、55キロの重ハンデながら2着に0秒3をつけての快勝。勝ち時計の1分58秒8も優秀だった。21~23年、重賞を除く同コースでこれ以上の時計を出して勝利した馬は6頭いて、そのうちプログノーシスら5頭が後に重賞を勝利している。

京都芝2000mは3走前の寿Sで経験済み。このときは勝ち馬と0秒1差の2着。勝ち馬のデビットバローズはその後に大阪城S2着、新潟大賞典4着とOP戦線でも好走しており、相手が強かったと言えるだろう。福永祐一厩舎の初重賞勝利を川田騎手とのタッグで達成することに期待したい。

◯コスタボニータ
OPクラス入りしてから8戦、東京コース以外では掲示板を外しておらず、タイム差も0秒3以下。強みは先行力で今回も自分の競馬ができれば上位は堅いだろう。鞍上は前走に続き岩田望来騎手。前走福島牝馬S組【1-2-2-23】のうち、継続騎乗【1-1-1-9】に該当しているのも加点材料だ。ただし芝2000mの経験が愛知杯のみである点、京都コースも初といった懸念点を考慮し、2番手評価とした。

▲ホールネス
デビュー戦をマコトヴェリーキー(3勝クラス2着、2勝クラス阪神芝2000mを1分58秒7でV)の2着とした後、未勝利戦から3連勝。2着との着差も徐々に開いており成長中、まだ壁は感じられない。注目したいのは前走の熊野特別。10頭立てにもかかわらず、レース後3か月で2着以下から4頭が2勝クラスを突破しているハイレベル戦だった。今回は格上挑戦となるが、斤量の利を生かせば激走も十分あり得る。

△ミッキーゴージャス
なんといっても2走前の愛知杯の内容が優秀だった。54キロのハンデを背負い、前半1000m57秒4のハイペースのなかマクリを決め、上がり3ハロン3位で勝利した。大阪杯では大敗したが、牝馬限定重賞なら力が違う。しかし乗り替わりや56.5キロのトップハンデなど厳しい点も多く、△評価とした。

×タガノパッション
3勝クラスで2、3着を繰り返した後、3走前の愛知杯を上がり最速タイで2着と好走。その後2戦は連続6着。ただし内容を見ると2走前は4角12番手から上がり最速の脚を使っていて、前走もマクリから4番手まで浮上しての6着。結果的に先行馬が馬券圏内を独占しており、動いた判断は間違っていなかったものの、展開が向かなかった。どちらも着順ほど悲観することはない。ハンデ戦に戻って前走より2キロ軽くなる点も大きい。前走福島牝馬S着外からの逆転例もあり(18年ワンブレスアウェイ6着→2着、20年リュヌルージュ8着→3着、23年ホウオウエミーズ12着→3着)、押さえておきたい1頭だ。

以下アリスヴェリテまで印を回す。馬券は◎軸、◯以下相手の馬連とする。

▽マーメイドS予想▽
◎エーデルブルーメ
◯コスタボニータ
▲ホールネス
△ミッキーゴージャス
×タガノパッション
☆アリスヴェリテ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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