東日本国際大、タイブレークで早大に惜敗 全日本大学野球準決勝

【早大―東日本国際大】2番手で登板し、粘投した東日大のエース藤井(左)=神宮球場

 第73回全日本大学野球選手権大会は第5日の15日、神宮球場で準決勝2試合が行われた。2年ぶりに準決勝に進んだ東日本国際大(南東北大学野球連盟)は延長10回タイブレークの末、3―4で早大(東京六大学野球連盟)に惜敗し、初の決勝進出はならなかった。

 東日大は先発の磯前凜(4年、郡山商高卒)が5回まで無失点に抑えると、5回裏、1番の黒田義信(2年)が2点適時二塁打を放って先制した。2番手のエース藤井優矢(4年)が3点本塁打を浴びて逆転を許すも6回に相手の暴投で同点に追い付いた。しかし、延長10回に犠飛で再びリードを許し、10回裏は四球で好機を広げたが、あと一本が出なかった。

 ここまでエース藤井優矢(4年)を中心に下級生たちも奮起し、接戦を勝ち抜く粘り強い戦いで強豪との接戦を落としたナインたちの顔に悔しさがにじみ出ていた。

 エース藤井、全4試合熱投

 ここまでチームを支えたのはエースの熱投だった。藤井は初戦から4試合連続で救援登板。疲れの残る中での投球だったが、準々決勝までは18回を投げ無失点。準決勝でも一時逆転となる本塁打を浴びるなど相手の強力打線に攻め込まれるも、粘り強い投球でチームに勢いをもたらした。

 今大会で頼もしい成績を残したが、昨秋のリーグ戦は右肩のけがに悩まされ、ボールを投げることすらできなかった。秋のシーズン終了とともにチームを引っ張ってきた前エースの大山凌(ソフトバンク)が卒業。「自分が投げないといけない」と、藤井には4年生投手としての責任感が芽生えた。

 下半身を強化しながら軽めの投球で徐々に距離を延ばし、1月に本格的に投げられるようになった。その後の春のリーグ戦では、登板した試合全てで勝利投手となるなど安定感抜群の投球を披露。「最上級生としての意地を持って試合に臨んでいる」と、ベンチ入りメンバーに4年生が少ないこともあり、大会を通じて下級生の活躍が目立ったこともエースを奮い立たせた。

 応援スタンドには部員や家族など学校関係者ら約400人が陣取った。最後まで見応えのある戦いを繰り広げたナインに部員の野本比那汰さん(4年)は「ここまでよく粘り強く戦ってくれた。神宮球場に連れてきてくれてありがとう」と感謝を口にした。マウンドで最後までチームを引っ張った藤井は「体づくりからもう一回見直して、この悔しさをばねに試合に臨んでいきたい」と次なる挑戦へ決意を固めた。(副島湧人)

 代表選考合宿に招集

 全日本大学野球連盟は、22~24日に神奈川県で行われる大学日本代表の選考合宿に東日本国際大の藤井優矢を追加招集すると発表した。

© 福島民友新聞株式会社