中国の蔚来汽車がバッテリー交換事業を加速、大手との提携相次ぐ

蔚来汽車がバッテリー交換事業を加速している。

蔚来汽車(NIO)の収益性はどんどん低くなっているのに、なぜまだ多くの投資家を引き付けるのだろうか。創業者の李斌(リー・ビン)氏はどのように投資家を説得しているのだろうか。これまで、多くの人がこのような疑問を持ってきた。

蔚来汽車の通期決算によると、2023年の総売上高は前年比12.9%増の556億2000万元(約1兆1680億円)に達し、過去最高を記録した。研究開発費用は134億3000万元(約2820億円)で、2年連続で100億元を突破した。しかし、純損失は同43.5%増の207億2000万元(約4351億円)だった。

蔚来汽車のバッテリー交換事業は固定資産モデルで、会社の収益水準を圧迫すると考える人が多い。しかし、蔚来汽車は依然としてバッテリー交換事業の布石をしっかりと構築している。

蔚来汽車は5月21日時点で、中国でバッテリー交換ステーション2420カ所、充電スタンド2万2500基、高速バッテリー交換ステーション800カ所を建設しており、11大都市群をカバーする充電・バッテリー交換ネットワークを形成している。

このネットワークの構築は、蔚来汽車の充電・バッテリー交換分野での強大な実力を示しているだけでなく、蔚来汽車のユーザーにより便利で効率の高い充電・バッテリー交換サービスを提供している。

蔚来汽車のバッテリー交換ステーションは第3世代に更新され、交換効率をさらに向上させている。バッテリーの数は13個から21個に増加した。また、充電効率が50%向上したほか、800 V高圧電気構造と互換性がある。バッテリー交換にかかる時間はさらに短縮され、最短4分40秒で自動駐車からバッテリー交換まで全プロセスを完了できる

しかし、今年は超高速充電の普及と半固体電池(1000 km航続可能)の二重の圧力に直面し、バッテリー交換モデルの優位性が下がる中、バッテリー交換事業への投資を加速している。

今年に入り、蔚来汽車のバッテリー交換連盟の拡大が加速している。

中国最大の国有自動車メーカーの第一汽車は5月21日に蔚来汽車と戦略的提携枠組み協議を締結した。これに基づき、第一汽車と蔚来汽車は双方の優位性をさらに発揮し、バッテリー技術基準、充電とバッテリー交換が可能な車種の研究開発、充電・バッテリー交換電力ネットワークの建設・運営などについて戦略的協力を展開する予定だ。

蔚来汽車は23年11月21日の長安汽車から24年5月21日の第一汽車まで、半年でバッテリー交換のパートナーを拡大し、協力の契約を締結した自動車メーカーはすでに長安汽車、吉利汽車、江淮汽車、奇瑞汽車、ロータス、広州汽車集団、第一汽車集団の7社に上る。

蔚来汽車がバッテリー交換分野の協力に関する契約を締結した主な企業は以下の通り。

23年11月 長安汽車、吉利汽車とバッテリー交換事業での提携で合意

24年1月 江淮汽車、奇瑞汽車とバッテリー交換事業での提携で合意

24年 安徽省能源集団、安徽交控建設工程集団とバッテリー交換ステーション1000カ所の建設で合意

24年2月 南方電網とバッテリー交換事業での提携で合意

24年4月 ロータスとバッテリー交換事業での提携で合意

24年5月 広州汽車集団とバッテリー交換事業での提携で合意

24年5月 第一汽車集団とバッテリー交換事業での提携で合意

バッテリー交換連盟の意義は、自動車メーカーをバッテリー交換市場で「それぞれ独立」から「共同作戦」に転換させ、消費者のバッテリー交換の習慣を変える可能性を拡大し、それによって巨大なバッテリー交換市場を形成することだ。

蔚来汽車のバッテリー交換連盟は拡大しており、これは蔚来汽車のバッテリー交換基準が全国統一のバッテリー交換基準に向けて確固たる一歩を踏み出したことを示している。中国全域をカバーする巨大なバッテリー交換ネットワークを構築すれば、その巨大な商業的価値は言うまでもない。これに成功すれば、蔚来汽車は本格的に再生の好機を迎えるだろう。(編集/CL)

© 株式会社 Record China