砂糖入り飲料を飲み続けているとうつ病になりやすい?【役に立つオモシロ医学論文】

うつ病を患う人の数は増加している

【役に立つオモシロ医学論文】

ストレスの多い現代社会では、うつ病を患う人の数も増加しています。過去に報告された研究によれば、うつ病の発症リスクは、砂糖入り飲料の摂取で上昇する一方、コーヒーや緑茶の摂取では低下する可能性が示されていました。

しかし、コーヒーや緑茶以外の飲料と、うつ病リスクの関連性については、ほとんど研究が行われていませんでした。そのような中、多様な飲料の摂取状況と、うつ病の発症リスクを検討した研究論文が、臨床栄養学の専門誌に2024年4月17日付で掲載されました。

この研究では、40~74歳の日本人9万4873人(女性55.7%)が対象となっています。研究参加者に対してアンケートを行い、日常的に摂取しているさまざまな飲料が調査されました。

研究参加者はまた、飲料の摂取量に応じて、摂取していない人、少し摂取する人、中くらい摂取する人、多く摂取する人の4つのグループに分類され、うつ病との関連性が解析されています。なお、研究結果に影響し得る年齢、性別、食習慣などの因子について、統計学的な補正が行われました。

5年にわたる追跡調査の結果、飲料を多く摂取する人と摂取しない人のうつ病リスクの差は、砂糖入り飲料全体で3.6%、炭酸飲料で3.5%、野菜ジュースで2.3%、100%のフルーツジュースで2.4%、加糖コーヒーで2.6%であり、これらの飲料を多く摂取する人でうつ病リスクの増加と関連していました。

一方、ブラックコーヒーではマイナス1.7%で、うつ病リスクの低下と関連していました。

なお、緑茶については摂取量とうつ病リスクの間に統計学的に意味の関連を認めませんでした。

論文著者らは「甘味飲料の摂取を控えることが、うつ病の予防に良い影響を与える」と考察しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

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