「棚主」になってみませんか? 本屋がなかった村で「シェア型書店」が人気 スペースを個人に貸し出し 沖縄・大宜味村

 沖縄県大宜味村喜如嘉に昨年10月オープンした古書店「山ブックス」が話題だ。一般客が利用できる書店としては国頭3村唯一で、店主の崎山すなおさん(31)が仕入れた古書を販売する傍ら、書棚を区画ごとに販売スペースとして個人に貸し出す「共同書店」(シェア型書店)も運営しているのが特徴。県内の書店が減少傾向にある中、地域の読書文化を支えている。(中部支社・宮城一彰)

 共同書店は全国で広がっている書店の運営形態だが、崎山さんによると県内では珍しい。契約者は「棚主」と呼ばれ、山ブックスでは地元をはじめ本島中南部や離島、県外から約30人が棚主となり、幅広いジャンルの本を販売している。

 開業のきっかけは昨年2月。当時、村観光協会に勤務していた崎山さんは、廃校になった小学校の本を配布するイベントに携わった。会場には県内各地から多くの人が訪れ1日で千冊以上が引き取られた。崎山さんはうれしそうに本を手に取る来場者の姿に「本を求める人がたくさんいる。本屋をやってみたい」と考え、行動に移した。

 店内には沖縄本を中心に小説や児童書など多彩な本が並び、地元客だけでなく観光客も多く訪れる。「こんなところに本屋があったんだ」「面白い取り組みだね」などと声をかけられるのがうれしい。棚主からも喜びの声が届き、本好き同士で一緒に経営している感覚が楽しいという。

 崎山さんは「地域に本屋が1軒あるだけで雰囲気が違うと思う。みんなでつくる地域の交流の場にしていきたい」と意気込んだ。

 同店は旧喜如嘉小の校舎を活用した複合施設「喜如嘉翔学校」内にあり、営業時間は午前11時~午後6時。火・水曜日が定休日。棚主も募集中だ。問い合わせはインスタグラム(@yama.books)またはメール(yamabooks.okinawa@gmail.com)まで。

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