ごみのない瀬戸内海へ小中生奮闘 岡山の丸内さんきょうだい

用水路のごみを網で回収する丸内さんきょうだい=5月25日

 深刻な海ごみ問題の解決を目指し奮闘するきょうだいがいる。岡山市立桑田中2年丸内陽仁(はると)さん(13)と、同大元小5年志織さん(10)。毎日、地域のごみを拾って歩き、岡山県内で企画される海・川ごみ回収イベントは都合の合う限りほとんどに参加している。熱心な活動が認められ、5月には公民館に招かれて環境学習会の講師を務めた。きょうだいは「いつか、ごみ一つないきれいな瀬戸内海を実現したい」と話す。

 「岡山市では、あちこちに張り巡らされた用水路を伝ってプラスチックなどのごみが海に流れ込んでいます」

 同市北区田中の御南西公民館で5月25日に開かれた海ごみ・プラごみ問題がテーマの学習会。丸内さんきょうだいは中学生ら約70人に向かい、実情を訴えた。終了後、2人も加わり、周辺の用水路で食品の包装や空き缶を拾い集めた。熊代正英館長は「同世代の講師のおかげで、中学生たちが環境問題を身近な自分ごととして受け止められた」と手応えを話す。

 きょうだいは2022年1月から海ごみ問題に取り組んでいる。毎日学校からの帰り道に、安全に気を付けながらごみを拾って歩く。帰宅後もしばしば火ばさみを手に再び外出して地域のごみを集める。週末には、環境団体などが企画する回収活動に加わる。この1年で参加した活動は22件に上り、県外の行事にも足を運ぶ。

 講師になったきっかけは今年2月、岡山県が岡山市内で開催した「海ごみ・プラごみ削減フォーラム」。海ごみ削減に取り組む県内の関係者が一堂に集う催しで、きょうだいは一般参加者として会場を巡る中、23年度に山陽新聞社と連携して実施したごみ回収やワークショップを紹介していた御南西公民館の職員と出会い、依頼を受けた。

 元々、きょうだいそろって生き物好きだった。知人宅の盲導犬が道端に落ちていたマスクを誤ってのみ込んで急死したり、沖縄県の美(ちゅ)ら海水族館でジンベエザメがプラスチックをのみ込んだことなどから衰弱死したとの展示に触れたりしたことを機に、生き物を守るため、ごみをなくそうと思い立った。「人間の出したごみが動物の命を奪ってはいけない。私たちにもできることがあるはず」と志織さん。

 昨年3月には、小学生が海の環境保全をテーマに活動報告する全国大会で、陽仁さんが20人の発表者の1人に選ばれた。

 きょうだいが痛感するのは、多くの人にごみの削減・回収に参加してもらう大切さ。「2050年には海の中の全ての魚よりも、プラごみの重量の方が重くなるとの研究報告もある。未来のためにみんなの力を集めたい」

環境学習会の講師となり、海ごみ問題を伝える丸内陽仁さん、志織さんきょうだい=5月25日、岡山市・御南西公民館

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