【都知事選、本当の争点】②どこ行った?!東京大改革原則は守られたか?

【まとめ】
・「東京大改革」の大原則は、「都民ファースト」、「情報公開」、「賢い支出」。
・「都民ファースト」は広まったが、「情報公開」は不十分。
・「賢い支出」も、前提となる体制・システムが不十分。

「東京大改革3.0」を進めていく、として小池都知事が出馬を表明。「AIゆりこ」がネットに登場し、これまでの政策について語っている。小池さんと立憲民主党の参議院議員の蓮舫さん、そのほかにも多くの方が出馬、激戦が予想される。

https://x.com/ecoyuri/status/1801497237987725698

さて、小池都知事。8年前に掲げた「都政大改革」はどうなった?と思った方もいるだろう。当初4年の都政改革本部の行動、当初は筆者も取材し、それなりに評価もしていた。しかし、その後はあまりに中途半端に見える。とはいえ正当な評価をするために大改革のベースになった「原則」から見てみよう。

■ 東京大改革の3つの原則

東京大改革の期待レベルについては、

・ワイズスペンディング、適切な予算が執行される
・特定の既得権益層が利権をむさぼらない
・政策立案過程がオープンにされている
・情報公開がされていて政策検証ができる
・都民の満足度や納得度が高い

ということだろう。この大改革の期待水準にむけて行政経営を進めていくための原則はどうであったのか。まずは都民ファーストの会のHPから確認しよう。

【出典】都民ファーストの会 政策パンフレット

ふるい都議会にNO!という「東京大改革」の大原則は、「都民ファースト」、「情報公開」、「賢い支出(ワイズスペンディング)」ということだそう。なのでこの3つの原則の順守度で見ていくことが求められよう。

■ 大改革の成果は・・・・

では原則がどの程度徹底されたか、政策推進の軸として機能したか、という点で評価をしてみよう。

都民ファースト: 〇
情報公開: ✖
賢い支出: ✖

という結果となる。

まず都民ファースト。この姿勢はいたる場面で知事自ら語り、いたるところで発言し、行動して見せた。それが仕事の原則として、知事の言葉はそれなりに行き渡ったことは事実である。そのため〇とした。

次に、情報公開は✖である。東京五輪、外苑再開発、様々な政策でのいろいろな場面において、オープンになったとはいいがたい。確かに前よりはましにはなった。PFOS,PFOAの事例をみても、都政の、後追い、責任逃れなどはジャーナリストの諸永裕司さんの本に明らかになっている。情報公開については、彼のnoteに明確に書かれているが、「白塗り」という手法が新たに開発された以上のことはない。

■ 賢い支出かどうかも見れない

最後に、賢い支出、これについては議論が必要だが✖だ。これはわたくしが専門家なので見ていきたいが、政策評価を入れたというが、専門家からすれば、レベルの低い方法が少しマシになっただけ。東京五輪、プロジェクションマッピング、スタートアップ事業など、詳細は本連載で検討していくが、それにしても「賢い」ものではない。

しかも、その「TOKYO予算見える化ボード」「TOKYO政策評価・事業評価・グループ連携事業評価見える化ボード」を見てみると、BIツールをつかったダッシュボードではあるが、評価の前に、「見える化」の点で問題が多い。

【出典】TOKYO政策評価・事業評価・グループ連携事業評価見える化ボード

成果指標の設定のロジックも不明、コストも見えていない。やり直し!である。賢い支出を考える前に、その前提となる体制・システムが不十分という結論だ(詳細は連載で書いていく)。

さて、東京大改革の原則は貫かれなかった。貫かれなかったとしても、原則はどうであれ、成果が出ることもあるかもしれないので、次回から検証していく。

(③につづく。①はこちら

トップ写真:AIゆりこ 出典:小池百合子Xより

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