ペイン・スチュワートに憧れたデシャンボー “再来”のパインハースト制覇へ

ブライソン・デシャンボーがメジャー2勝目へ王手をかけた(撮影/村上航)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 3日目(15日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)

高校時代、ブライソン・デシャンボーが進学先を決めたのは南メソジスト大(SMU)の体育館を訪れたときだった。壁画に描かれていたのは故ペイン・スチュワート。「彼はSMUだったのか…」。幼い頃のヒーローが同校の出身だとは知らなかった。

かつてお馴染みだったハンチング帽はベン・ホーガン、そしてスチュワートを偲んだものだったという。「全米オープン」がここパインハーストNo.2が初めて行われた1999年、スチュワートが優勝した。最終日最終18番で5mのパーパットを沈めた時のガッツポーズが語り草となった。その4カ月後の10月25日、飛行機の墜落事故でこの世を去った。

後続に3打差をつけて最終日へ(撮影/村上航)

25年が経った今大会、LIVゴルフのチームキャップをかぶってプレーするデシャンボーは単独首位で最終日を迎える。4アンダーから「67」をマークして通算7アンダー。終盤16番でダブルボギーを叩きながら、17番(パー3)で5mのフックラインを流し込んでバーディを取り返し、2位に3打差をつけた。

今週は「つまらないゴルフをする」と決めている(撮影/村上航)

「彼はゴルフにおいて僕の多くを占める存在だった」と、デシャンボーが語るスチュワートは1982年にPGAツアー「ジョンディアクラシック」で初勝利。自分も2017年に同じ大会で初勝利を飾った。不思議な縁が心強い。

パインハーストNo.2にはペイン・スチュワートの像が残されている(撮影/村上航)

4月「マスターズ」では6位、5月「全米プロ」では2位に終わった。2020年大会以来の優勝がかかる最終日。攻撃的なゴルフを持ち味にしていても、パインハーストだけは堅実に攻めると決めている。「今週ずっと話してきたことを言うよ。つまらないゴルフをする。グリーンの中央は動かない。とにかくグリーンに乗せ続けて、2パットパーを拾っていく」と自らに言い聞かせた。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)

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