40代後半の会社員です。生涯独身・兄弟姉妹もいなくて寂しいので老人ホームに入りたいです。老人ホームの種類と費用を教えてください。

公的施設と民間施設

大枠として整理しておきたいのが、公的施設と民間施設があるということです。老後、もっとも気がかりなのは費用でしょう。

収入はある一定金額であるのに対して、支出は医療費負担が大きくなっていくことが予想され、しかもそれは生涯増えることはあっても減ることはないということです。

(厚生労働省資料および金融広報中央員会サイトより筆者作成)

どのような状態で受入可能かどうか

次に受入可能かどうか、という点から整理していきます。

公的施設は、要介護度が高い人向けになっていますので、自分で自分のことができる自活タイプの人でも受入可能な公的施設はケアハウスのみです。ただし、ケアハウスに入所しても、後に要介護度が上がってしまった場合は居続けることは難しいケースもあります。

民間施設は、自立から要介護まで幅広く受入可能です。入所当初は自立であって将来要介護状態になりその状態が上がっていても一般的に居続けることは可能です。

加齢とともに自分で活動することが難しくなってきますが、民間の介護付き有料老人ホームであれば要介護度が上がって(自立が難しくなって)も、継続して住み続けることができます。お金に余裕のある人は、将来も見据えて民間施設の「住宅型有料老人ホーム」を選択される場合が多いようです。

みとり対応が可能かどうか

おひとりさまの場合は、「ついのすみか」という面からみとり対応やターミナルケアが可能かどうかもチェックポイントになるでしょう。

こちらは、「施設によってまちまち」といったところです。ただし最近ではみとり対応可能な施設が増えていますが、ケアハウスはまだ未対応のところが多いので確認が必要です。

費用面では個別に入居一時金の有無と月額利用料をチェック

老人ホームの費用は、入居一時金と月額利用料から構成されています。大まかな相場を整理しておきます。

民間施設の中には富裕層を対象とした物件もあり、平均値では実際の相場観にそぐわないため中央値を採用します。入居一時金の相場は10万円、月額利用料は約14万円です。

月額利用料については、地方のほうが都心に比べて安価である傾向が見られます。人口が多い大都市圏では月額利用料も当然高くなっています。一例を挙げると東京都の中央値は21万円ですが、宮崎県は8万円弱です。

また、入居一時金を必要としない施設は約3割あるといわれていますが、その代わり月額利用料が割高な場合が多いので、両方合わせて比較することが重要です。実費負担の範囲も確認しておきたいところです。

チェックポイントの整理

これまで概要を整理してきましたが、最後に特に絞り込むときのチェックポイントについて触れておきたいと思います。それは費用と医療体制・介護サービスです。

1つ目は費用です。予算の範囲内かどうか、介護保険の範囲内かどうか実費負担はどこからどこまでかについて確認しておく必要があります。2つ目はスタッフの数や緊急時の体制・医療機関との連携です。

これらを踏まえたうえで、最終的には自分の目で日ごろの様子などを確認して「自分にとって合うかどうか」を確認してください。特におひとりさまにとってはついのすみかという前提で確認することが大切です。

出典

厚生労働省 介護保険3施設の概要・高齢者の住まいについて
金融広報中央員会 知るぽると 介護サービスの種類

執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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