『SASUKE』はついに2028年ロス五輪種目に CM収入激減のテレビ界が今「番販」に本気を出す最大の理由

※画像は『SASUKE』の公式X『@sasuke_tbs』より

1ドル157円超の“超円安時代”が到来。来日する外国人観光客数は右肩上がりだが、多くの日本人の生活は物価高も重なり、楽にならない。そんな今の経済状況を受け、テレビ各局は新たな戦略に出ているという。

「海外への番組販売、関係者の間では“番販”と呼ばれる戦略に注力しているんです。SNSやYouTube、動画配信サービスの普及などでテレビ離れは年々進んでいて、各局視聴率が伸び悩んでいます。結果、広告収入も落ちているのが現状です」(制作会社関係者)

2021年にインターネット広告費の金額が、テレビ・新聞・雑誌・ラジオというマスコミ4媒体の広告費の合算を上回ったことも話題を呼んだ。

さらに電通が2月に発表した「2023年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は過去最高の7兆3167億円を記録したものの、地上波テレビの広告費は前年比4%減の1兆6095億円となり、テレビの広告収入が目に見えて減少していることがあらためて明らかになった。

「テレビ各局は不動産事業やホテル事業などに注力し、TBSなどは“赤坂の不動産屋さん”と揶揄されることもあるほど。そんななか、この超円安の状況を受け、各局が海外への“番販”に気合いを入れているんです。海外に自社のコンテンツを売って外貨を稼ぐということですよね」(前同)

ダウンタウンの松本人志(60)が企画・プロデュースし、Prime Videoで配信されているバラエティシリーズ『HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE』のフォーマットが、ポルトガル最大手のテレビ局・TVIに販売されることも5月30日に明らかになったばかりだ。

■世界各地で大人気『SASUKE』は「ロス五輪」種目に

古くはTBSの『SASUKE』の海外版が165の国・地域で人気を博し、日本テレビの『¥マネーの虎』はイギリスBBC、アメリカABCでシーズンを重ね、40の国・地域でいまだに根強いファンがいる。

「2028年のロサンゼルス五輪では『SASUKE』をもとにした障害物レースが“近代五種”で行なわれる競技の1つとして採用されることとなり、“ミスターサスケ”として根強い人気を誇る山田勝己さん(58)も誇らしいでしょうね」(前出の制作会社関係者)

その『SASUKE』のベースになったとされる『風雲!たけし城』(TBS系)も世界各地で大人気。2023年4月よりビートたけし(77)、バナナマンらが出演する令和版『風雲!たけし城』がPrime Videoで配信されている。

「テレビ東京の『家、ついて行ってイイですか?』も中国版が制作されていますし、ドラマではテレビ朝日、フジテレビで放送されてきた『白い巨塔』は韓国でリメイクされました。Prime VideoやNetflixで海外の人が日本のアニメをはじめ、ドラマ、バラエティ番組などのコンテンツに触れる機会も格段に増えてきました。もちろん逆もしかりですが。

幼い子どもだけで買い物に行ってもらう『はじめてのおつかい』(日本テレビ系)も2022年よりネトフリで190か国に向けて配信され、“我が国ではあり得ない”といった反応を含め大反響を呼びましたね。

Prime Videoやネトフリなどのプラットフォームに配信するのも大事ですが、やはり番組のフォーマットを買ってもらって現地版がその国や地域に根づくというのが、より世界的な広がりを感じさせますよね。

そしてやはり、今、各局が“番販”に力を入れる最大の理由は、超のつく円安だからだといいます。海外からの評価が高い番組を売って、外貨を稼いで大きな売り上げにする――従来の稼ぎ方ではなかな収益が得られなくなっているからこそ、円安状況も味方につけるようにして、海外からお金を得るということですね」(前同)

テレビ各局が注力するという“番販”。『SASUKE』のように、日本初のコンテンツが世界中で愛されるようになり、それが発案者にも還元されるような仕組みになれば素晴らしいことだが――。

© 株式会社双葉社