「山になじむ不思議な感覚」俳優ら振り返る 本県ロケ映画、山形で舞台あいさつ

本県での撮影エピソードなどを紹介した(左から)寛一郎さん、杉田雷麟さん、飯島将史監督=山形市・ムービーオンやまがた

 マタギを題材に本県で全編撮影した映画「プロミスト・ランド」の県内公開が始まり、関係者の舞台あいさつが15日、山形市のムービーオンやまがたで行われた。主演した俳優の杉田雷麟(らいる)さん、寛一郎さんと飯島将史監督が、本県の山の暮らしや撮影について「自然と共に生きている感じ」「山になじむ不思議な感覚」などと振り返った。

 山形市出身の作家・飯嶋和一さんの小説が原作で、マタギの伝統を受け継いできた過疎集落が舞台。環境に不満を抱える若者を杉田さん、信念を貫き通す兄貴分を寛一郎さんが演じ、2人が禁じられたクマ狩りに挑む姿を描いた。大鳥地域を中心とした鶴岡市内、月山近くの西川町志津などで撮影を行った。

 飯島監督は「一年を通して山形を訪れ、風景が変わっていくのを見た。山の近くの暮らしが、自然と一緒に生きているような感じがして素晴らしいと思った」と語った。杉田さんは「川がすごく冷たかったことや、山菜が芽を出したり、カモシカが近くまで来たりと、大自然が鮮明に印象に残っている」、寛一郎さんは「10分の9ぐらい山での撮影。だんだん山になじんでくる、不思議な感覚だった」と振り返った。

 飯島監督は、時代が変わる中で自分も変わらなければいけない、逆に変わりたくないという感情をうまく表現できない作中の2人について「原作を最初読んだ時、そういうところがいいなと思った」と、映画化のきっかけを紹介。寛一郎さんは「マタギの文化は山形の魅力の一つ。僕らの映画もそうだが、文化を下の世代に受け継いでいくことは大切なこと。踏襲するものとしてはいけないものを考える必要があり、この映画はそういうことも包括した作品だと思う」と述べた。

 舞台あいさつは鶴岡市の鶴岡まちなかキネマでも行われた。今後は全国で順次公開される。

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