雨が止んでも「大雨警報」が継続されることも 災害リスクが高まるメカニズム【暮らしの防災】

雨が止んだのに「大雨警報」が続いていることがあります。雲が去って青空になったのに「なぜ警報?」と思いますよね。「雨水」は土の表面に溜まったり、土にしみこんだりします。この「雨水」が大量だと災害に繋がることがあります。

雨が止んでも「大雨警報」が継続されることも

「大雨警報(土砂災害)」は雨がたくさん降り、土にしみ込んだ雨水で「がけ崩れ」「土石流」などが起こる危険性が高い時に出されます。 「大雨警報(浸水害)」は雨がたくさん降り、下水などで排水が追いつかなくなり、雨水で「街が浸水」する可能性(内水氾濫)が高い時に出されます。 雨が止んでも土がズブズブだったり、まだ表面に水が残っている場合、「危険は去っていない」として「大雨警報」が継続されることがあるのです。 「雨水」が土から抜けて「土の中の水の量が安全と言える範囲」になったら、気象庁は警報を解除します。 もう少し詳しく知りたい方に、その仕組みを説明します。 気象庁は、土の中にしみ込んでいる雨量や地表にたまっている雨の量を数値化=指数化しています。「土壌雨量指数」「表面雨量指数」と言います。

災害リスクの高まりを指数化

「雨によって災害リスクが高まるメカニズム」を、タンクに入って来る水・出ていく水・留まる水の量を雨量データなどに基づきスーパーコンピューターで計算して「指数化」します。 そして過去の水害の時の「指数」を参考に警報を出す「基準値」を決めて、大雨が降って指数が「基準」に迫ってくる、「基準」を超える可能性が出てきた場合に「警報を出す」という仕組みになっています。 その時の「指数」が「基準値」を下回ると警報は解除になります。 つまり雨が止んで晴れても「指数」が「基準値」を下回らないと、危険な状態が続いているとして警報は継続されるのです。 ◇ 被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。 ■五十嵐 信裕 東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。

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