バブル期のリゾート地では1室数千万円も、いまや数十万円まで値下がり…「貧乏マンション」の悲惨な末路【サラリーマン大家が解説】

バブル期に1室数千万円もの価格で売り出されていたような、豪華なジムや温泉施設を備えたタワーマンションが、昨今数十万円程度で売り出されるケースが相次いでいます。本記事では、片岡忠朗氏の著書『買った後に絶対後悔しない! 金持ちマンション購入術』(ごきげんビジネス出版)より、このように適正な管理ができていないために価値の低下したマンションの行く末について解説します。

貧乏マンションとは?

ここでは、適正な管理ができていないために、居住者の方たちの暮らしの質が低下しているマンションを貧乏マンションと定義します。

具体的にそのような貧乏マンションの、昨今での顕著な事例があります。それは、バブル期に地方のリゾート地に建てられたリゾートマンションです。建築当時は1室で数千万円もの価格で売出されていたような、豪華なジムや温泉施設を備えたタワーマンションが、現在では数十万円程度で売り出されているのです。

これは、リゾートマンションという特殊な事情もあり、極端に表面化した事例ではありますが、私が定義する貧乏マンションの典型的な事例です。ここでは、そのような貧乏マンションが、どのような末路をたどっていくのかについて話をしていきたいと思います。

貧乏マンションの行く末

1.老朽化の早期化と安全性の欠如

新築のときに最新の豪華な設備や施設が備わっていて、誰もがうらやむマンションだったとしても、日頃から適正に管理していかなければ老朽化のスピードも速く、短期間で陳腐化してしまいます。また、それらの設備や施設を処分するにしても、高額な費用がかかることも考えられます。

日常の管理もできないようなマンションでは、設備を処分するための費用も捻出できずに放置されてしまい、設備の老朽化に伴う危険性も出てくるでしょう。そのため重大な事故につながる安全性の欠如も懸念されるでしょう。

2.家計は火の車

老朽化が進行して、快適な暮らしができないようなマンションでは、売却や、引っ越しをして部屋を賃貸に出したいと思う方も、多く出てくるでしょう。しかし、そのようなマンションでは、価格を下げてもなかなか売却できない。部屋を賃貸に出しても、借り手がまったく見つからないような状況が目にうかびます。

何とか売却できたとしても、住宅ローンが残ってしまうことや、購入時よりも大幅に安い価格でしか売却できずに、次の家を購入する資金が不足して苦労するようなことも考えられるでしょう。

また、売却できずに部屋を賃貸に出すようなときには、より家計が圧迫される危険性も高まります。住宅ローンが残っている状態で部屋の借り手がいなければ、そのローン返済金額とマンションの管理費などの毎月の固定費用を支払うことはもちろんのこと、引っ越し先もローンで購入したマンションであれば、そのローンと管理費などがそれにプラスして家計にのしかかってくることになります。

その結果、家計は火の車と化していくでしょう。

3.廃墟化

老朽化が顕著に表面化されて安全性が欠如していくことで、マンションの居住者が減っていき、空き部屋が増えていきます。それに伴って、引っ越した外部の区分所有者の方の家計が火の車になると、管理組合への管理費などの滞納金が増えることにもつながっていきます。

本来、建物を定期的に修繕するための費用が不足しているような貧乏マンションであれば、管理費および修繕積立金を適正な金額に値上げしていくことが求められるのですが、前述したような状況に陥ってしまっていては、もはやそのような改善が実現できる状態ではないでしょう。

管理費などの滞納が継続すると、そのマンションの管理組合の資産状況は実質的には赤字となります。そのため、建物を維持するための必要最低限の補修すら実施がままならないことが容易に想像できます。

その結果、貧乏マンションの末路は廃墟と化していくのです。このような廃墟化していく可能性の高いマンションのことを、「要除却認定マンション」や「管理不全マンション」と呼んでいます。

国土交通省も問題視していて、さまざまな施策や支援を打ちだしてはいます。しかし、そのようなマンションは建物の高経年化によって、今後ますます増加していく可能性が高くなっていくでしょう。

国土交通省の発表資料(「第1回要除却認定基準に関する検討会参考資料」より)によると、築40年を超えるマンションが国内において令和元年では約91万8千戸あり、令和11年には213万5千戸にまで急増していくと発表されています。

片岡 史朗

マンションLIFEコンサルタント

※本記事は『買った後に絶対後悔しない! 金持ちマンション購入術』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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