除名処分…“さいたま市PTA協”を私物化していた元会長 永久に無関係となった54歳、使途不明金は1千万円超ほかにも 一方さいたま市PTA協が退会することにした日本PTA協…ガバナンス正常化したら加盟を再検討へ

さいたま市P協、元会長を除名処分 内規違反で=さいたま市

 埼玉県のさいたま市PTA協議会(市P協)は15日、同市浦和区で、2024年度定期総会を開催した。使途不明金を巡り内規違反があったとして、元会長男性(54)を除名処分とし、市P協に永久的に関わることがないようにするとの決議を行った。上部団体の公益社団法人日本PTA全国協議会(日P協)からの退会について承認を求める議案も賛成多数で可決。退会届を近く提出し、正式に退会する。

 19~22年度に計1079万円の使途不明金が出た問題は23年3月に発覚。市P協は今年3月、第三者委員会の調査報告書を公表した。16~18年度に会長を務めていた元会長について、報告書は「協議会の私物化といってもいいような状況が認められた」とした上で、「支出は全体として、元会長が主導的な立場で行われた」と認定していた。

 補償制度の内規では、保険代理店の選定に市P協は関与してはならないと規定。調査の結果、補償制度担当の副会長を務めていた15年度中に、元会長による働きかけがあり、16年度から中央区に所在した保険代理店が参画。「元会長は立場を利用して、自身と関連のある代理店を意図的に参画させた」とし、23年12月20日の理事会で、利益収受の禁止の内規違反に当たると認定した。今年4月24日の理事会で、除名処分を決定し、この日の総会で処分議案が賛成多数で可決された。

 一方、市P協は昨年12月20日の理事会で、日P協の不明瞭な会計処理や高額な事務局支出などを理由に、正常なガバナンスが機能していないとして退会を決めていた。日P協が正常なガバナンスを取り戻したと判断した際は、加盟を再度検討するとしている。

 総会は非公開で開催され、清水勇人市長らが来賓として出席し、あいさつした。使途不明金の再発防止策、日P協からの退会後の取り組みなどを報告し、24年度事業計画案や予算案などを承認した。

 郡島典幸会長は総会後、「会計ルール、チェック体制強化の規定を作れたので、一安心した」と取材に答えた。使途不明金の発覚後、退会する学校が増え、加盟校は165校から150校に減少している。郡島会長は「子どもたちが楽しめる活動に軸足を置いていく。子どもも親も満足することで、PTAの活動の意義を周知していきたい」と話していた。

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