BTSジン除隊が世界中で沸騰 日本最大級のコリアタウン・新大久保で“勝手に除隊記念イベント”を現地レポート

JIN(BTS) ※画像はBTSの公式X『@bts_bighit』アカウントより

6月12日の午前8時50分頃。京畿道(キョン ギ ド)漣川郡(ヨン チョン グン)にある陸軍第5歩兵師団教育大隊で服務を終えたJIN(キム・ソクジン、31)は、上官と固い握手を交わした後、さっそうと報道陣の前に姿を現した。

2022年12月13日に入隊したジンは、1年半の兵役を終えてBTS(防弾少年団)の中でもっとも早く兵役を終えたメンバーとなった。

この日のために休暇を取って駆けつけた同じく兵役中のメンバー6人が、熱い抱擁と感動の涙とともにジンを出迎えるはずだったが、感傷的な雰囲気を一蹴したのはリーダーのRM(29)。サングラスにテナーサックス姿で、BTSのヒット曲である『DYNAMITE』を演奏。一瞬でその場の雰囲気を和ませ、メンバー全員を笑顔にする、愛情いっぱいの除隊式となった。

BTSは、13年6月13日にシングル『2 COOL 4 SKOOL』で韓国デビューをすると、質の高いパフォーマンスや抜群の歌唱力、メンバー個々の際立ったキャラクターはもちろんのこと、いち早くSNSを通じてファンとの連帯感を重視したマーケティングを展開。アジアだけでなく、世界中にその名を知られるようになった。

アルバム『WINGS』をリリースした16年からは、世界各国のチャートにBTSが名を連ねるようになり、17年の「ビルボード・ミュージック・アワード」では「トップ・ソーシャル・アーティスト賞」を、18年には、K-POPで初めて「ビルボード200」で1位を記録。翌年にはグラミー賞でパフォーマンスを披露するなど、まさにBTSの活躍はK-POPの歴史そのものになった。

グループで最年長のジンは、控えめな性格ながらもその爽やかなルックスでどうしても目立ってしまう存在。ピープルズ・ボウトというオンライン投票サイトで約260万票を獲得し「世界でもっともハンサムな男性2023」にも選ばれたほどだ。ソロ活動も順調で、入隊前、最後にリリースしたソロシングル『The Astronaut』は、発売からわずか2週間で累計売上枚数100万を突破。ミュージックビデオは、6月16日現在1.1億回再生されている。

BTSはもちろんのこと、ソロのアーティストとしても世界的に大きな成功を収めたジンの除隊とあって、米国ビルボード、ローリングストーン誌を始めとして、MTV UK、BBCラジオなど世界各国の主要音楽メディアがジンの除隊を報道。今後の活動に注目している。

そして、日本でもジンに愛を叫ぶ人たちがいる。東京都新宿区にある日本最大級のコリアタウン・新大久保。同地では、6月12日のジンの除隊、そして翌13日のBTSデビュー11周年を記念したイベントが目白押しだった。

■東京・新大久保には長蛇の列が

長蛇の列を作るARMYたち

12日、ジンの除隊を“勝手に”お祝いする新大久保のカフェを訪れてみると午前11時のオープン前、すでに20名以上のARMYと呼ばれるBTSファンが列を作っている。2軒のカフェが並んだこの場所では、1店舗でジンの除隊イベントを、もう1軒でBTS11周年イベントを開催している。年齢層は、BTSとともに年を重ねた30~40代がほとんど。

入場を待つ間に、事務所に戻ったジンのLIVE配信が始まった。世界中のファンが同時にアクセスをしているためファンダム・コミュニティーにネットがつながりにくいようだ。

それぞれが画面を食い入るように見つめるなか、待機客のひとりが接続に成功したのか、「キャー!」と雄叫びを上げる。それを合図に、待機客全員が先ほどまで見向きもしなかった人のスマホに殺到し一時大混乱に陥った。

事態が収拾したところで10名ずつが店内へ。入場料1000円で、ワンドリンクと気の利いたグッズがセットになっている。店内にはジンの写真が100枚以上、所狭しと貼り付けられていて、展示の最後にはカフェ自作のオリジナルグッズが販売されている。誰もがグッズを手に取らずにはいられない動線となっているのはさすがだ。

ARMY歴6年目という古参ファンにジンについて話を聞くと、

「入隊前はジンが兵役に行くことには大反対だったんです。でも、入隊時期を延期していたらきっと世間は快く思わなかったでしょう。メンバー全員が同じような時期に入隊したことは結果的にとてもよかったと思っています。それに1年半はとても長いと思っていましたが、1年を過ぎた頃から、もうすぐ帰ってくるじゃん! という感じでした。除隊する姿を見れてとても幸せです」

と語ってくれた。

ジンの除隊をお祝い

翌日13日、ジンはソウルの蚕室(チャム シル)室内体育館でファン1000人を招きハグイベントを行なった。ボーダーのニットシャツを着たジンは、首に“アナジョヨ”(抱きしめて)というパネルをかけて登場。

「本当に久しぶりです。このイベントをずっと前から温めていたんですけど、本当に実現できてよかったです。軍隊に行ってからは人見知りになってしまい、皆さんの前に立つのは緊張しますが、こんな僕を受け止めてください」

と挨拶をした。

当初は写真撮影が禁止されていたものの、ジンがスタッフに掛け合い、撮影ができるようになったことで、ハグイベントの様子がSNSを通じて瞬く間に広まった。

ほとんどの人はルールを守りハグイベントを楽しんだが、一部ではジンの隙をついてキスを強行するなどトラブルが多発。この様子を見たイベント不参加のファンからは、1000人に選ばれなかった怒りも手伝ってか非難が殺到。ジンも「配慮が足りなかった。申し訳ない」と謝罪する事態に発展した。

軍を除隊したはずなのに、味方であるはずのARMYが本当のARMY(戦士)に豹変したと言える瞬間だったのかもしれない。可愛さ余って憎さ百倍。これもモテる男の性なのだろう。

韓国では軍隊に行って初めて男として認められるという。一皮剥けたこれからのジンに注目だろう。

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