統合失調症と診断も意見分かれる 群馬・太田市のラーメン店、店長刺殺公判 2精神科医が証言

 2022年10月に群馬県太田市のラーメン店で、男性店長=当時(42)=を包丁で刺すなどして殺害したとして、殺人の罪に問われた同市の無職の男(32)の裁判員裁判の第3回公判が15日までに、前橋地裁(橋本健裁判長)で開かれた。精神科医2人が出廷し、男について共に妄想型統合失調症と診断したが、犯行への影響については意見が分かれた。

 検察側による3カ月の鑑定留置で精神状態を調べた医師は、犯行の7カ月前に同店を退職した頃から妄想にとらわれるようになったと分析。現実と妄想の併存状態が続き、犯行直前に被害男性を見て急激に妄想に入り込み「強固な妄想で支配されていた」と述べた。

 検察側が依頼し、捜査資料や鑑定書を基に意見書を記した別の医師は「動機に妄想が影響したことは確かだが、殺人を命じたり、殺さなければ自分が殺されたりするような切迫した内容ではなかった」と指摘。犯行1カ月前の包丁購入時や事件当日に店に着いた時もいったんは思いとどまっており、行動を制御する力が十分あったとした。

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