伊黒の「嫉妬」にファンはニヤニヤ?『鬼滅の刃』柱の関係性があらわになった柱稽古編「第五話」

『鬼滅の刃 柱稽古編』第五話より (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

アニメ『鬼滅の刃』の最新シリーズ「柱稽古編」の第五話「鬼を喰ってまで」が、6月9日に放送された。

鬼舞辻無惨との戦闘に備えて、それぞれの柱による稽古の様子が描かれる「柱稽古編」。第三話、第四話では元音柱の宇髄天元、霞柱・時透無一郎と、それぞれの柱のもとでの稽古という、原作漫画では数ページしか描かれていないところを1人1話ずつ丁寧にアニメオリジナルのセリフやシーンを交えて描かれていた。

最新話となる第五話では、無一郎のもとでの稽古を終えた炭治郎が、次に恋柱・甘露寺蜜璃の稽古へ向かう。

他の柱のもとでの稽古は難なくこなしていた炭治郎も柔軟は得意としておらず、レオタードに身を包んだ隊士とともに「柔軟は地獄」と苦しみながら稽古を受ける。

その後、炭治郎は蛇柱の伊黒小芭内と風柱の不死川実弥の稽古も受け、蓋を開けると1話の中に3人分の稽古が詰め込まれる内容であった。

■クールな伊黒から初めて漏れ出たギャグ顔

今回の「柱稽古編」では、前述したようにアニメならではの“アニオリ”のシーンやセリフが注目されているが、第五話はほぼ原作漫画通りの駆け足の展開。しかし今回も、フラグを思わせる内容あり、サービスシーンありと、原作の掘り下げもバッチリ。原作ファンも原作漫画とアニメとを見比べながら楽しんだのではないだろうか。

特筆すべきは、伊黒の異常なほどの嫉妬深さが初めてかいま見えたことだろう。甘露寺の稽古をクリアした後、伊黒の稽古へ向かった炭治郎だが、すでに伊黒に目をつけられてしまっていた。それは甘露寺からの手紙で、彼女が炭治郎とのティータイムの思い出を楽しそうに語っていたためだ。

それまでの本編ではふざけたシーンもなく、ずっとクールな印象だった伊黒だけに、初めて見せる白目のギャグ顔とともに、甘露寺への好意がダダ漏れの様子はかわいらしくさえ感じられる。また回想の中で、甘露寺から新しい手紙が届いた際には木刀をその場に落として瞬間移動さながらの速度で手紙を受け取りに行っており、アニメでのそうした細かい演出からも、彼の甘露寺への思いの深さが感じられる。

天真爛漫な甘露寺には決して他意はないのだろうが、なかなかどうして罪作りな女性である。またこのやりとりで、伊黒と甘露寺がかなりの頻度で文通を交わしていることも伝わってきて、ファンはほっこりしたようだ。

■不死川兄弟に「幸せになってほしい」「切ない」

今回の放送回のもう一つの見どころといえば、不死川実弥と玄弥の兄弟の確執だろう。サブタイトルの「鬼を喰ってまで」は、玄弥の「俺…鬼を喰ってまで…戦ってきたんだぜ…」のセリフから。その言葉を聞いた実弥は足を止め、玄弥の両目を潰そうとする。

兄を慕い、どうにか和解したい玄弥と、聞く耳を持たず、弟を除隊させるためにためらいもなく再起不能にしようとする実弥。ボタンを掛け違えたようにわかり合えない2人の様子に、SNSでは「二人には幸せになってほしい」「不死川兄弟のそれぞれの気持ちを思うと切ない」「どうか話し合ってほしい」という声があふれた。

さて今回は、本作におけるコメディ担当ともいえる善逸の久しぶりの登場も見逃せない。原作漫画では、善逸が不死川の稽古から逃亡した後に捕まるシーンで「ギョマッ」「ギャモッギャアアアンヌ」という人間の声とは思えないセリフが書かれていたが、善逸の声を演じる声優の下野紘さんはこれ以上ないほどに見事にセリフを完全再現。善逸ファンも大満足の、満を持しての登場となったようだ。

モブ隊士たちとの炭治郎との交流や、先述の善逸の活躍もあって全体的にコメディタッチの内容だったが、伊黒との稽古シーンのヌルヌルと動く激しいアクションや、不死川兄弟のシリアスシーンなど、シーンにおける差の激しい回だったといえるだろう。

また振り返ってみると、今回は3人の柱の稽古について駆け抜けるような展開だったからこそ、一話で不死川と伊黒が共闘するというアニオリが新しく描かれたのかもしれない。

次回、第六話「鬼殺隊最強」では、ついに鬼殺隊最強といわれる岩柱の悲鳴嶼行冥の稽古が始まる。こちらは2019年のアニメ1期からこれまで、ほぼ登場シーンのなかった悲鳴嶼が炭治郎らの稽古をつける。彼のパーソナルな部分を描くのに、アニオリでたっぷり時間をとってくれそうだ。

© 株式会社双葉社