教師の負担軽減・少子化で…“全中”大規模縮小へ 小結・大の里の母校も相撲の競技人口減少を懸念「子どもたちが輝くステージが…」

日本中学校体育連盟は中学生の全国大会・全国中学校体育大会について、3年後に一部の競技を取りやめることを発表した。背景にあるのは、教師の負担軽減と少子化だ。対象となった相撲競技の関係者からは競技人口の減少を危惧する声が聞かれた。

全中の規模縮小へ 相撲・水泳など除外

6月11日、新潟県糸魚川市を訪ねたのは、7月に開かれる大相撲名古屋場所で新十両に昇進する能生中学校・海洋高校出身の嘉陽だ。

夏場所で幕内初優勝を果たした小結・大の里と中学・高校の1学年先輩に当たる嘉陽。「中高時代はインターハイで優勝しようとか、全中で優勝しようと日本一を目指して頑張っていた」

全国大会での優勝を目指していた日々を振り返ったが、この相撲競技などをめぐり、ある動きが…。

中体連は中学生の全国大会「全中」の規模を縮小することを発表。

現在は陸上やバスケットボール軟式野球やサッカーなど20の競技が行われているが、2027年度以降は水泳や体操、そして相撲など8競技を、2030年度以降にはスキーが除外される。

中学生にとって全中の舞台は…

2009年に全中で優勝し、大の里や嘉陽などがいた2014年には準優勝した名門・能生中学校相撲クラブ。

全中の県予選が6月下旬に開かれるのを前に、この日も海洋高校の生徒と一緒に稽古に汗を流していた。

中学生にとっての「全中」の舞台とは…

生徒からは「みんなが一生懸命練習してきて、自分の力を発揮して、自分がいまどこにいるのかわかる場所」「自分の稽古してきた力を発揮するところ」などの声が聞かれた。

3年前に全中に出場し、一緒に稽古に励む先輩は「雰囲気が違って、他の大会と比べてレベルが高いなと思った。中学校の一番大きい大会なので、そこに向けて努力するための一番の大会。一番大事な大会だと思う」と話した。

“競技人口の減少”懸念する声も…

一方、海洋高校相撲部総監督の田海哲也さんは競技人口の減少を懸念する。

「私としてはすごく残念で、子どもたちが輝くステージが一つなくなったなと。競技人口がさらに少なくなるというのは少し心配している」

「部活動の設置率が20%未満の競技を原則として消滅の対象にした」とする中体連。

教師の負担軽減や少子化が背景にあると言うが、嘉陽は「やっぱり中学生は目標にしている大会だと思うのでなくなってほしくない」と語った。

新潟でも動揺が広がる中、中学生の夢を奪わないための対応も求められている。

(NST新潟総合テレビ)

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