食べ物を詰まらせて亡くなった子供は6年間で80人 詰まらせると「静かに苦しむ」食べさせるときは口の中・食べ具合・表情の確認を

2022年、東京都の保育施設で、1歳5カ月の女の子が給食で提供されたリンゴを喉に詰まらせ死亡する事故があった。2023年にも鹿児島県と愛媛県の保育園で1歳未満の赤ちゃんがリンゴをのどに詰まらせる窒息事故が起きている。命に関わる食事中の事故。細心の注意を払いながら食事を提供する保育現場を取材した。

保育園での取り組み

定員110人の宮崎市・みずほ保育園。0歳児クラスでは現在、生後6カ月~1歳1カ月の乳幼児6人を保育士4人で担当している。

給食を見ると、園児の月齢によってトマトの刻み方や鶏ささみのほぐし方など微妙に形状が異なっている。同じ0歳児クラスでも、一人一人の成長に合わせて提供されている。

みずほ保育園では、保護者から園児が自宅で何を食べているか、かむ力や飲み込む力を事前に聞き取ったうえで、提供する食べ物の大きさややわらかさを分類。給食はその情報に沿って調理している。

また、園児のその日の体調を見て、保育士が食材をさらに細かく切ったりつぶしたりするなど、食事中だけでなく食事をする前の園児の様子にも目配りしているという。

みずほ保育園 坂上真実さん:
眠そうなお子さんには仮眠をとっていただいてすっきりした状態で食事をしていただく。一人一人の口の様子、口の中、食べ具合、表情を確認しながら食べさせている。

ここ数年、保育施設での窒息事故が相次ぐリンゴ。乳幼児のかむ力、飲み込む力は成長の段階によって異なるため、みずほ保育園では生後7カ月以上の園児はすりおろして過熱したもの、1歳を過ぎ、家庭でも生のリンゴを食べている園児には3mmにスライスしたものを提供している。

みずほ保育園 坂上真実さん:
リンゴは硬さがなかなか難しい食材なので、普通の食材よりも慎重に丁寧に提供させていただいている。すりおろしただけではなく硬さ、やわらかさもしっかり確認しながら提供するようにしている。

生後5カ月を過ぎると離乳食をはじめ、食べる楽しみや喜びを感じられるようになる子供たち。その一方、保育の現場では食事中の事故を防ぐために、一人一人の成長やその日の体調、期限に応じた対応を心掛けている。

みずほ保育園 横山槇子園長:
朝元気に『おはよう』と来た子供たちを『きょうも1日元気でしたよ』と保護者にお返しするのが私たち保育園としての務め。事故やけがが起こらないように細心の注意を払っている。

窒息が起こりやすい食品は?

消費者庁の分析によると、2014年から2019年までの6年間で、食べ物を詰まらせて亡くなった子供の数は80人で、このうち0歳児と1歳児が44人と、半数以上を占めている。

日本小児科学会は、窒息が起こりやすい食品として、リンゴや生のニンジンなど固くてかみ切りにくいもの、ブドウやミニトマト、ウズラの卵といった 丸くてツルっとしているものなどを挙げている。

視聴者の「ヒヤッ」とした体験…

・小林市50代女性 たんたんさん
3歳の子供にプチトマトやぶどうを切って出すと嫌がって、丸いものを食べたがるのですが、たまたま、口に丸ごと入れてしまって、かまずに喉の方にいったらどうしようって、怖かった。

・宮崎市30代女性 3boys mamaさん
長男が2歳の頃、キャンディ型のチーズが好きで、朝起きて「食べたい」と言うので渡したら喉に詰まらせてしまった。すぐにタッピングをして吐き出したため、大事には至らなかったが、寝起きでの食事は特に気をつけないといけない。
またSNSを見ていると、子供がウトウトしながら食べている動画が出てくるが、「動画撮ってないで起こすか、食事やめさせてあげてー!」と思ってしまう。

・宮崎市40代女性 さきさん
子供とおすしを食べに行っている時に、子供が急に静かになったと思ったら、のりが喉に貼り付いていた。まさかのりであんな苦しい思いをさせるとは思わなかったので怖かった。

取材に協力いただいたみずほ保育園の横山園長は、保育の現場に50年以上携わっているが、「子供たちのかむ力や飲み込む力の低下」を感じているそうだ。

考えられる要因としては、「市販の離乳食が普及したこと。コロナ禍で保育士のマスク着用がマストだったために、しっかりかんで、飲み込むという口の動きを子供たちに見せる”食育”ができなかった事もあると思う」とのことだった。

そして喉に食べ物が詰まると、子供たちは「静かに苦しむ」のだという。

その時には、直ちに119番通報、そして、背中を叩くなどの応急処置をする必要がある。

保育現場・ご家庭でも普段から気を付けていると思うが、悲惨な事故が2度と起きないように改めて最新の注意を払って欲しい。

(テレビ宮崎)

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