【都知事選、本当の争点】③どこ行った?! 東京大改革「7つの条件」から見た小池都政

西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・「東京大改革」の条件のうち、賢い支出や子育てなどはある程度満たした。

・政策立案過程と情報公開は不十分。

・利権構造にメスが入るという条件は未達。

「東京大改革3.0を進めていく」、として小池都知事が出馬を表明して、戦いの構図が明らかになり進んでいる。蓮舫さん、田母神さん、石丸さん、安野さんなどなどの様々な候補が乱立、候補者は48人を超えるといわれている。やはり問われるのが、「継続か、リセットか」という点だろう。その意味で、「東京大改革」をみなければならない。

▲写真 都政改革本部にて、小池百合子都知事(筆者撮影)

今回、そもそも東京大改革はどうなった?と思った人も多いだろう。4年の都政改革本部の行動を当初は筆者も取材し、それなりに評価もしていた。しかし、その後はあまりに中途半端であり、それもあって注目を浴びなかった。まっとうな評価をするために大改革の期待水準を明確にして考えていきたい。

■ 東京大改革「7つの条件」

▲図 【出典】小池百合子HP

小池さんは「都民が決める。都民と進める」「情報公開は東京大改革の一丁目一番地」「古い議会を新しく」と語った。都議会を「ブラックボックス」などと批判し、威勢のいいことを言い、都政に希望を、都民に期待をもたらした。そして、その世論をバックに東京大改革を推進。世論の動きをウオッチしていた筆者としては、様々な方から政治への希望・要望を聞いた。世論調査や都民の声をまとめると期待された「東京大改革」の条件は以下のように7つに集約される。

【条件1】東京都の利権構造にメスが入る

【条件2】特定の既得権益の方々が利権をむさぼらない

【条件3】政策立案過程がオープンにされている

【条件4】情報公開が十分されていて政策検証ができる

【条件5】客観的な評価に基づくワイズスペンディング(賢い支出)、適切な予算が執行される

【条件6】都民の満足度や納得度が高い

【条件7】環境や子育てなど先進的な政策を推進する

これが7つの「東京大改革」の条件である。

■ 大改革での成果は・・・・

▲表 【出典】小池百合子HP

【条件5】客観的な評価に基づくワイズスペンディング(賢い支出)、適切な予算が執行される

【条件6】都民の満足度や納得度が高い

【条件7】環境や子育てなど先進的な政策を推進する

これらの条件はある程度満たしたといえる。ワイズスペンディングについては専門家からすると中身は問題も多いが、仕組みを構築し、実施したことも確かである。都政の世論調査を見ても、それなりの数字が並んでいる、

次に、活動としてはやってはいるが、できているか微妙な条件もある。

【条件3】政策立案過程がオープンにされている

【条件4】情報公開が十分されていて政策検証ができる

この2つの条件は、成果を問われると厳密な評価が必要になってくる。そのため、これらについては、保留としよう。

最後に、これ以外の条件については残念ながらその条件は満たせていない。特に、優先順位の高い2つの条件だ。

【条件1】東京都の利権構造にメスが入る

【条件2】特定の既得権益の方々が利権をむさぼらない

過去の自民党の都議たちが去ることで、一度は利権構造が一掃された。しかし、自民党との協調路線になりだして状況が変わった。それは4年前のカイロ大卒業疑惑に対しての対応からだと言われているが、本当のところはわからない。

既得権益を断罪するのではなく、自民党、公明党も取り込むことで都政の安定は手に入れた。しかし、掲げた「東京大改革」が期待する構造改革はできなかったということである。政治という中で、支持基盤を確立するため、敵をも取り込むのは仕方ない選択だったのかもしれない。

■ 大改革での成果となるとこれくらい?

過去よりましだった小池都政。注目はされていないが、「シン・トセイ」を進めてきた。

▲図 【出典】シン・トセイ HP

デジタル政策などを中心に進めてきた「シン・トセイ」、それなりに評価はできる面も多い。見てみることを都民にお勧めしたい。

(つづく。

トップ写真:東京都庁(イメージ)出典:chachamal/GettyImages

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