【コラム】WANDS、THE FIRST TAKEの一発録り「世界が終るまでは…」が急上昇ランキング席巻「30年間愛される理由と第5期の底知れぬポテンシャル」

WANDSがYouTubeチャンネル“THE FIRST TAKE”の第440回に登場、5月31日22時より楽曲「世界が終るまでは…」がプレミア公開となった。公開1週間で再生数188万回を突破しているほか、YouTubeの急上昇ランキング(音楽)10位圏内に1週間ランクインを続けるなど話題だ(※6/16現在246万再生突破)。上原大史(Vo)と柴崎浩(G)によるスペシャルな一発撮りが30年前の名曲「世界が終るまでは…」を再び輝かせ、今、WANDS第5期への注目度が高い。

楽曲「世界が終るまでは…」は1994年にTVアニメ『SLAM DUNK』のエンディングテーマに起用され、ミリオンセラーを記録したWANDSを代表するナンバーのひとつだ。第5期としてはデジタルシングル「世界が終るまでは… [WANDS第5期ver.]」を2022年8月に配信リリース。同年12月にはミュージックビデオも公開した。

そして今回、THE FIRST TAKEに一発録音による「世界が終るまでは…」映像がアップされると、上原の男っぽくエモーショナルなヴォーカルと、柴崎による圧巻のギタープレイを絶賛する声がネット上に溢れた。『SLAM DUNK』世代は、第5期の新ボーカリスト上原の歌声を「原曲をずっと聴いてるけど、こっちもめっちゃ好きだな」「第5期の歌をもっと聴きたい」と評し、初期メンバー柴崎のギターには「かっこよすぎて相変わらず鳥肌だし、テクニックが素晴らしくて手の動きをついつい見てしまう」と称賛するコメントが多数寄せられている。

不朽の名曲の素晴らしさに、現代の空気感をも落としこんだ第5期の実力、そのポテンシャルの高さに胸を撃ち抜かれた人も多いだろう。とりわけ、後半の上原のシャウト気味のフェイクと、その熱量に呼応するような柴崎のギターフレーズにも一発録りならではのライヴ感は、現在のWANDSならではのサウンドが感じられる仕上がりだ。

▲デジタルシングル「世界が終るまでは… [WANDS第5期ver.]」
今回のTHE FIRST TAKEで、現在進行形のWANDS第5期に初めて触れた人もいるかもしれない。若者カルチャーと音楽がセットで街に息づいていた1990年代に、いくつものミリオンセラーを放ったWANDSの楽曲が、聴き継がれ歌い継がれながらも、2000年3月に公式サイト上で“解体”(解散)が表明されて以降、半ば伝説と化していたのも事実だろう。しかし、約19年の月日を経て2019年11月、初期メンバーである柴崎浩と木村真也(Key)は、新メンバー上原大史を迎えてWANDS第5期として再始動を果たした。

再始動当初のBARKSインタビューで柴崎は、「上原の歌を聴いたとき、“WANDSを残したいな”という思いがすごく強くなりました」と語り、WANDSに誘われた上原は「子どもの頃に聴いていたバンドのボーカルを“俺がやるの?”“無理でしょ”って感じでした」と心境を振り返っている。歴代ヴォーカリストと比較されることやファンが抱く想いなど、その重圧は想像してもしきれない。

そしてWANDS第5期は2020年1月発表の第1弾シングル「真っ赤なLip」を皮切りに、アニメ『名探偵コナン』のテーマソング(「真っ赤なLip」「YURA YURA」「RAISE INSIGHT」「大胆」)など、ヒット曲を立て続けにリリース。再始動のタイミングがコロナ禍と重なる逆境はあったものの、第5期1stアルバム『BURN THE SECRET』(2020年10月発表)や2ndアルバム『Version 5.0』(2023年8月発表)では幅広い音楽性とチャレンジ精神で魅了し、東名阪ツアー、全国ツアーと着実にステップを踏むことでWANDSを磨き、その輪郭を太いものにしていった。

中でもターニングポイントになったのはハードロックテイストが強い曲も収録された2ndアルバム『Version 5.0』だ。タイトルもズバリ第5期を意味する同作は、メンバー自身、これまでのWANDSに囚われない楽曲がどんどん生まれ、ライヴで受けた刺激が新曲のインスピレーションになったと語っている。また前述した柴崎の「WANDSを残したい」という発言通り、過去があって今があるという姿勢がブレていないことも彼らが支持されている一因だろう。新曲を中心に据えつつも「世界が終わるまでは…」をはじめ、過去の代表曲を第5期アレンジによる最新ヴァージョンとして送り出してきたことは彼らの礎となっている。そしてやはり、第5期WANDSをタフにさせ、本当の意味で吹っ切れさせたのはファンと直接触れ合うライヴだったのかもしれない。

もうひとつ、過去のWANDSファンをも惹きつける理由は、プレイヤーとしてソングライターとして卓越したスキルとセンスを持つ柴崎と木村、そして長戸大幸プロデューサーがWANDSを21世紀に蘇らせるべくボーカリストに迎えたのが「幼少期に洋楽を聴いていたこともあって、個人的には洋楽のほうが歌唱力を発揮しやすい」と自らを分析するボーカリスト、上原だったこと。「とてつもない緊張感があり、ライブより緊張しました」とは、今回のTHE FIRST TAKEに関する上原のコメントだが、曲にスケール感を与え、歌詞とメロディを際立たせるヴォーカル力、ダイナミズムはTHE FIRST TAKEでも一目瞭然である。さらに、ギタリストの柴崎は、「WANDSといえば、'90年代のWANDSがいいという方もたくさんいらっしゃると思いますが、当時のWANDSも上原がボーカルの今のWANDSも、とても気に入っていまして」とコメントしている。

WANDSの最新作は、2024年4月にTVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソングに起用されたCDシングル「大胆」だ。同作を引っ提げて6月25日の愛知県芸術劇場 大ホール公演を皮切りに、7月2日に大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール、7月8日に東京ガーデンシアターといった第5期初の東名阪ホールツアーを開催することも決定している。ツアータイトルは“大胆”を意味する<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>。

2ndアルバムを携えた昨年のツアーでは、文字通り客席と一体になり、「灼熱のライブにしようぜ。ブチ上がれ!」と煽った上原。ライヴをイメージして書いたという楽曲「SHOUT OUT!!」ではコール&レスポンスが繰り広げられ、そこには常人では背負いきれないプレッシャーをはねのけ、解き放たれたヴォーカリストの姿があった。やり直しがきかない一発録りはある意味、ライヴに通じるスリルがある。ありのままの姿で攻める第5期WANDSのステージに期待が募るところだ。
文◎山本弘子

■第5期初ホールツアー<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>

6月25日(火) 愛知県芸術劇場 大ホール
7月02日(火) 大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール
7月08日(月) 東京ガーデンシアター
https://wands-official.jp/

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