原発、食料安保で共同声明 平和サミット、80カ国支持

16日、スイスで開かれた「世界平和サミット」の全体会合で演説するウクライナのゼレンスキー大統領(右)(ロイター=共同)

 【ビュルゲンシュトック共同】ロシアに侵攻されるウクライナが提唱する和平案「平和の公式」を協議するスイス中部ビュルゲンシュトックでの「世界平和サミット」は16日閉幕し、ロシアが占拠する原発の安全確保や食料安全保障、強制連行された市民の帰還の3項目を盛り込んだ共同声明を採択した。

 主催国スイスによると、80カ国と四つの国際機関が支持したが、新興国のインド、サウジアラビア、南アフリカなどは加わらなかった。今後、3項目に関する行動計画の詳細を詰める。

 共同声明で国際的な結束を示してロシアに外交圧力をかけ、最終的に平和の公式をのませたい考え。ゼレンスキー大統領は、国際的に承認された行動計画を策定後、ロシアとの折衝が始まると主張した。ただロシアが譲歩する兆しはなく、影響力を持つ中国はサミットを欠席。戦争終結への道は険しい。

 平和の公式はロシア軍の即時全面撤収などを含む10項目。ウクライナは今回、侵攻に中立的な国々の同意を得ようと、ウクライナ南部ザポロジエ原発の安全確保や、穀物の安定供給に基づく食料安全保障、ロシアに拉致された子どもたちの帰還の3項目に議論を絞り込んだ。

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