『ゴッドタン』に四千頭身・後藤拓実とハライチ岩井勇気“尖り芸人”の系譜

15日放送分の『ゴッドタン』(テレビ東京系)は、第12回を迎えた「腐り芸人セラピー」。ハライチ・岩井勇気、インパルス・板倉俊之、平成ノブシコブシ・徳井健太という「腐り三銃士」が、若手トリオ・四千頭身を迎えて“腐りトーク”を繰り広げた。

現在、トリオだけでなくピンでの仕事も増えてきていると明かした四千頭身。都築拓紀は自らアパレルブランドを立ち上げたことを報告。そのほか、22年4月に始まったラジオ『サクラバシ919』(ラジオ大阪)では単独でパーソナリティを担当するなど、順調な活動を見せている。

また、石橋遼大も筋トレや料理に加えて俳優業も順調であり、トリオ内でのパワーバランスが大きく変わっていることが説明された。

かつて四千頭身は後藤拓実のワンマントリオだったが、現在では収入面でも格差が生まれ、後藤がひとり取り残されている状況だという。

そんな四千頭身に対し、いつになく熱心だったのが事務所の先輩でもある岩井だった。

「テレビが苦手すぎる」だという3人に対し、「一番ウケるパターンを決めておかなきゃいけない」「お互いがお互いを応援してない」「一番の味方でいなきゃいけない人間が“あっち側”についちゃう」などとトリオの問題点を指摘。また、「僕たち終わってる?」という悩みには、「出始めほどの勢いはない」としたうえで、「後藤は腐ってることを認めるんだけど、あとの2人は腐ってることを認めてない」と一刀両断。その後も後藤以外の2人に厳しい言葉を投げかけていた。

岩井は、後藤に対する思いをラジオで語っていたことがある。2017年9月21日放送の『ハライチのターン』(TBSラジオ)。『ゴッドタン』で「腐り芸人セラピー」企画の第1回が放送される半年前、岩井自身がもっとも腐っていた時期の話だ。

ワタナベエンタテインメントの事務所ライブ、楽屋で岩井はアンガールズ・田中卓志やロッチ・中岡創一らとともに都築をイジっていたのだという。その際、都築に丸メガネをかけさせ“キャラ変”させるノリを楽しんでいた岩井らは、通りがかった後藤をそのノリに巻き込もうとして、冷たくあしらわれたエピソードを明かしている。

「後藤さ、見た目通り尖ってるからさ、あいさつもそこそこだしさ、そんな雰囲気だから、都築が『メガネかけるかもしんない』って言ったら、『……あっそ』って」

アンガールズ、ロッチ、ハライチという先輩たちの提案だということをわかったうえで、その態度だった後藤。その後藤を見て岩井は「あー、わかるわ」と大いに共感したのだそうだ。

かつて、漫才のノリボケネタに楽屋のノリを持ち込んできた先輩たちを「殺そうと思った」ことがあるという岩井。自らも先輩たちから「尖ってんじゃねえ」「可愛げ出せ」と言われてきたことを引き合いに出し、後藤に「尖ったまま行かせてやりてえな」「折れんなよ」とラジオからメッセージを送った。

「でもさ、俺は後藤に言いたいわけ。尖ったまま行けと。いいけど、そのまま尖って行けたとして、どこかでたぶん、俺とかち合うことになるぞ。その覚悟があるなら、尖ったまま行けよって、俺は後藤に言いたい」

その後、岩井はこの「腐り芸人セラピー」をきっかけに仕事を増やし、今ではフジテレビの昼帯でMCを担当するまでになった。目の前で「僕はだって、だいぶ落ちたもん」と小さくなっている後藤を見守る岩井の姿に、四千頭身の再生の道筋を見た気がした。

(文=新越谷ノリヲ)

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