和紙で生み出す異形の神々 一関 木住野利明さん作品展

作品展「不思議の森の神々」で、来場者に解説する木住野さん(奥右)

 東京都東大和市在住の絵本作家で張り子人形作家の木住野利明さん(77)による作品展「不思議の森の神々」は、一関市地主町のスペースシップ・Lyra(佐惣別館)で開かれている。和紙や木の枝などを使って表現された不気味にもユーモラスにも見える神々の姿が来場者を引きつけている。21日まで。

 木住野さんと一関との縁は2011年から。東山図書館が東山和紙の再興事業として宮沢賢治をテーマにした作品制作を依頼し、展示やワークショップを行った。当時の作品は同館が所蔵。近年は市内や奥州市で定期的に作品展を開いている。

 今回は、奥州市で作られている奥州衣川麻和紙を用いた作品を含む近作180点ほどを展示した。木住野さんが「名刺のようなもの」と語る鴉天狗(からすてんぐ)を発端に、日本の神々についてルーツを調べるうち、自然にイメージが浮かぶようになったという異界の者たちの姿は摩訶(まか)不思議。辰(たつ)年や過去の因縁もあって特別な思いを込めたという九頭竜のほか、猫やフクロウ、昆虫を想起させるものなど独特なフォルムの作品が並ぶ。

 和紙のほか、木の枝や石、麻ひもなど「基本的に手元にある物を使う」といい、細かい布をパッチワークのように貼り合わせた作品など色彩も豊か。いずれも強い目力が特徴的で、木住野さんは「必ず目が合う作品があるはず。自分の神様を探してほしい」と話す。

 開場時間は午前11時~午後4時。入場無料。17日は木住野さんも在廊する。

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