[本日の一品]軽い腕時計が欲しくて日本限定の「TIMEX キャンパー」34mm径を手に入れた

by ゼロ・ハリ

スマホの普及で外出時にも腕時計をしない人が増えたらしい。よく考えればスマホが普及しだしたのは2000年代終盤頃。しかしその前の10年にわたるガラケー時代から腕時計機能は携帯電話スクリーンの代表的機能だったはずだ。

この10年ほどの国内腕時計の小売り市場規模を見る限り、コロナ禍の期間を除いて8000億円~9000億円程度と、大きな減速や縮小はない。スマートフォン市場とはどうもあまり関係はなさそうな印象を受ける。

ただ国内外とも中途半端に安価な製品が減り高級機にシフトした可能性は大きいかもしれない。チプカシに代表される5000円~1万円以下の安価な腕時計と100万円超の高級腕時計の増加がバランシングしているのが現実なのかもしれない。

そんな低価格帯にあって以前から狙っていたタイメックスの日本限定モデル「キャンパー」を今年の春先に手に入れた。カラーはブラック、ネイビー、オリーブの3色が用意されている。ブラックは余りにも普通過ぎるのでネイビーとオリーブの2色で悩んでオリーブモデルを選んだ。いずれも小振りなベゼル径が34mmのモデルだ。

1970年ごろから半世紀に渡る歴史と伝統のあるアーミータイプの文字盤を配し、蓄光性のある長短の2針、秒針先のドットと時刻インデックスが特徴だ。また時刻のインデックスには同じアラビア数字で24時間表記を併記している。

オリジナルと異なるのは文字盤サイズが36mm→34mmと女性市場も考えコンパクトになったこと。戦時下では無いので文字盤はより視認性を向上させるために白に近いベージュに変更。短針はアクセントになる赤色を採用したことだ。秒針の赤色と共に現代に蘇ったキャンパーをプチドレッシーに魅せているのは文字盤と垂直の関係にある壁面内側の光沢だ。

一般的にアーミーウォッチと呼ばれる腕時計にはさまざまな要素があるようだ。しかし、昨今は使用シーンを拡大する意味でも純粋なアーミーウォッチではなく、現代社会での適応性を考えて独自の機能拡大や縮小をしているアーミーウォッチオマージュ系の製品がたくさん売られている。

視認性をより効果的にするために白い文字盤や赤い秒針を採用したキャンパー34mm。限りなくアーミー路線をより前進させてみようと努力しても、なかなか見えないBell&RossのPhantom。純粋なアーミーウォッチでは歓迎されない光るクロームパーツを定革や遊革(ベルト通し)に採用した500円のダイソーミリウォッチなどもその仲間だ。

アーミーウォッチのご本家であるタイメックスも、オリジナルのアーミーウォッチの現代アダプテーションモデルの種類がなかなか多い。筆者も文字盤が少し大きめのブラック・タイル・コレクションモデルや、BEAMSとのコラボモデルであるイエローゴールドのメタルモデルも同時に愛用している。いずれもアーミーモデルからの発展型だ。

何と言ってもキャンパー34mmの最大の特徴でありユーザーへの恩恵はその軽量性だ。実測もスペックと同じ20gちょうど。ごく一般的な腕時計である筆者のザ・シチズンはメタルブレス腕時計の標準像であると思うが実測107gだ。それがGMTタイプのセイコースプリングドライブだと実測が174gとキャンパー34mmの9倍近い。実際に腕に装着するとズッシリ感はとてつもない感じだ。

ただ腕時計を好きな人の中には、軽いと心もとなく感じ、ズッシリ系の腕時計を好む人も多い。筆者も勝手なもので季節や日によってその感覚は変化する。オメガとスウォッチのコラボスピードマスターが人気なのは、物語の多すぎるオメガのスピードマスターがECO時代を背景にしてセンス良く軽く安くなったことが最大の起爆剤だ。

そしてキャンパー34mmは、筆者の購入したオリーブもほかのブラックもネイビーも、それほど強烈な季節感がないので冬でも夏でも気にせず使えるのがありがたい。季節はオールマイティ感が強いが、昼夜のオールマイティ感を出すべく、文字盤上の数字の外側に配置された三角形の蓄光型のタイムインデックスは発光時間も短く照度も低く期待はできない。

メーカーもユーザーも、現代の腕時計の目指すべきところはいろいろ意見があるだろう。持つことに喜びを感じる希少性や高級路線。長く使える普遍性、想定外のギミック搭載系、思い出や物語のある復刻系などがそうだろう。しかし基本スペックである軽量性や装着性能、視認性などは昔からある重要項目だ。

そう考えて腕時計ワールドを眺めてみれば、高級路線ともうひとつは安くて軽い腕時計の一大グループがある。代表的なメーカーはフォッシルやカシオ、スウォッチだろう。もちろんタイメックスのキャンパー34mmは昔から安価で軽量なグループの中心メーカーだ。そして他社には負けないさまざまな物語を作った腕時計だ。

秋葉原やその周辺の下町を散策する時には、自分たちで企画製作しているタイベック製のたった45gのThink Aeroサコッシュに、コンパクトなmoto razr 40と30年以上使っているTHINK手帳、スリムなAURORAのボールペンを詰め込む。そして、タイメックス・キャンパー34mmを装着して出かけている。何時の時代も軽さはパワーだ。

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