コーセー/CO2フリー電力で新工場建設、100%使用は国内初・施工は鹿島

コーセーは、山梨県南アルプス市で計画する「南アルプス工場」を二酸化炭素(CO2)フリー電力を使用して建設する。建設工事で水力発電由来電力を100%使用するのは国内初。稼働段階には県産グリーン水素も取り入れる。2040年までに工場全体のカーボンニュートラル(CN)実現を目指す。水を活用したエネルギー地産地消モデルを構築するため、山梨県らと基本合意書を締結した。実施設計・施工を鹿島が手掛け、7月に着工する。
コーセーと生産子会社のコーセーインダストリーズ(群馬県伊勢崎市、小林正典社長)、山梨県の3者が14日、東京都内で基本合意書の締結式を開き、概要を発表した。
建設段階では、県営水力発電で作られたCO2フリー電力を使用。稼働時の電力はCO2フリー電力と太陽光発電で賄う。稼働時の熱エネルギーは、米倉山電力貯蔵技術研究サイト(甲府市)で再生可能エネルギーなどを用いて製造された水素を運んで利用する。当初は10%程度で状況を見て増やす。工場内での水素製造も視野に入れる。
建設地は同市野牛島。敷地面積は11万1525平方メートル。第1期で多品種スキンケア製品を中心とする化粧品工場(S造3階建て延べ3万9300平方メートル)を建設する。投資額は250億~300億円。基本設計は非公表。26年上期の稼働を目指す。将来的には最大3期までの拡張を見据える。
コーセーの小林一俊社長は「地産地消の水由来のエネルギーと巡り会えた。当社のCNへの取り組みに共感していただき、鹿島にCO2フリー電気を活用した建設工事を実現してもらう。このような工事が広がることを期待したい」と述べた。同県の長崎幸太郎知事は「地域で生み出すエネルギーを最大限活用した先進的で高付加価値なモデル工場となる」と期待感を示した。

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