国交省/有用技術の社会実装加速へ、分野横断的技術政策を検討

国土交通省は同省所管分野の技術開発や社会実装を、各分野の連携や横断的な取り組みで推進する。新たな有識者会議を立ち上げ、有用な技術の社会実装の加速化に焦点を当て、それを支える制度インフラの構築などに向けた検討を始めた。14日の初会合では官主導の技術開発や異分野の技術導入などの論点を提示。建設分野以外の幅広い有識者から意見を聴取し、8月までに中間取りまとめを整理する。最終的な検討成果は2025年度内の策定を目指す次期「国交省技術基本計画」に反映する。
社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)・交通政策審議会(交政審、同)技術分科会技術部会の下に「分野横断的技術政策ワーキンググループ」を設置。今後1年をかけ、▽技術開発や社会実装を推進するための基盤整備▽技術に対する社会の理解や信頼を確保する方策▽行政に限らず社会資本の整備・管理を支える人材育成▽日本が強みを持つ技術を生かした国際展開-の各テーマについて議論する。
先行して社会実装の課題解決に取り掛かる。現時点の論点として中長期的な視点に立った技術開発を促す方策を検討。技術開発を民間に委ねるだけでなく、官主導で目標を定めプロジェクトベースで実装を進める在り方も議論する。製造業や農業で実装されている一気通貫の生産管理システムを参考に、計画から設計、施工、管理までのデータ連携の留意点を整理する。
新技術を迅速に導入するため価格に加え、生産性や工期、脱炭素化などを考慮し、総合的に価値の最も高い技術を採用する仕組みづくりも課題に据える。基準類の策定など、技術の実装にかかる労力や費用を抑えて効率的に進める方法も検討する。
初会合の冒頭、林正道官房技術審議官はインフラ整備・維持管理に当たって、自然災害や老朽化への対応、関係業界の担い手確保などに直面していると説明。「これらの課題を技術で解決していく必要がある」と強調した。現場を抱える発注者の立場として事業実施過程で課題への対処策を試せる利点も指摘した。

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