9年連続負け越しが確定的でも主力放出に及び腰?GMの去就も不透明で相変わらず「ビジョン」が見えないエンジェルス<SLUGGER>

エンジェルスが今季も苦しんでいる。6月15日(現地)終了時点で27勝42敗とすでに15もの借金を抱え、ア・リーグ西地区4位に低迷。今季もプレーオフ出場は絶望的な情勢だ。

これを受け、約1ヵ月半後(7月30日)のトレード・デッドラインで、先発左腕のタイラー・アンダーソン、外野手のテイラー・ウォード、ユーティリティのルイス・レンヒーフォら複数の主力選手を放出するのではないか、との憶測が出ている。

しかし、ペリー・ミナシアンGMはこれには消極的のようだ。上に挙げた3人のうち、ウォードは2026年、アンダーソンとレンヒーフォは25年まで保有下にある。来季、巻き返しを狙う上では彼らの力が必要、というのがミナシアンGMの考え。むしろ、守護神のカルロス・エステベス、意外な活躍を見せているケビン・ピラー、昨季チーム最多の26本塁打を放ったブランドン・デュルーリーら、シーズン終了後にFAとなるベテランたちの放出に前向きのようだ。

その理屈は分からなくもないが、事実上の“レンタル移籍”選手を獲得するために、将来有望な若手有望を放出するチームなどほぼ皆無。そうすると、球界最悪クラスと言われるファーム組織の改善にはつながらない。 目下、エンジェルスではザック・ネト(遊撃手)、ローガン・オホッピー(捕手)、ノーラン・シャニュエル(一塁手)、ジョー・アデル(外野手)ら若手選手が台頭しつつあるが、質・量ともまだまだ足りていない。冷静に考えれば、オブの補強が多少成功したところで来季もプレーオフ争いは難しい状況。そうであれば、「数年先」を見据え、市場価値の高い選手との交換で少しでも質の高いプロスペクトを優先的に獲得するべきではないか。

ミナシアンGMの契約が今季限りということも気になる。自身の去就が不透明な状況では、自ずと打つ手も限られてしまう。9年連続負け越しが濃厚という状況で、チームをこの先どうしていきたいのか。ビジョンが見えない状態が続いている。

構成●SLUGGER編集部

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