結婚相談所でも増えてきた…「事実婚」「夫婦別姓」を選ぶ理由(植草美幸/恋愛・婚活アドバイザー)

夫婦別姓が当たり前の時代に?

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夫婦別姓は最近ものすごく増えました。夫婦同姓は、女性が社会進出をしていく上でどうしても不自由な面があります。免許証や保険証などの公的なもののほか、銀行口座やクレジットカードなどあらゆる変更手続きが必要ですし、経営者の場合は会社の登記簿も変更しなくてはいけません。女性起業家もどんどん増えているので、名前の変更はたいへんな労力を費やすことになります。

また女性の会員さんで医者や学者の場合、研究論文の著者名の変更に伴ない、積み重ねてきた実績が損なわれることもあり、仕事に支障が出ることを理由に夫婦別姓が叶う相手を探しているケースは少なくありません。

夫婦別姓に拘る理由はもう一つあります。自分の名前に思い入れがある場合です。例えば「白鳥」とか「桜田」など美しい名前で特別な思い入れがあったり、希少な姓の人は、先祖代々ずっと使ってきている名前だから変えたくないと言います。

別姓ではなく、女性が自分の姓を男性に名乗ってほしいと希望する人も出てきました。女性がひとりっ子の場合、嫁入りで家が途絶えてしまうためです。特に男性が経済的に乏しい場合は、女性側の家の存続と経済的に裕福なメリットから男性が名前を変えることに合意することがあります。

しかしながら男性が妻の名前に変更するケースは、まだ全体の5.3%です(厚生労働省「人口動態統計」2022年度より)。マリーミーでは、女性が医者で論文の筆者名変更の問題から男性が姓を変えたケースと、女性が由緒ある家系で資産もあったので、年収の低い男性が婿入りしたことがありました。

また、事実婚のパターンもあります。開業医の女性と大手企業勤務の男性の30代カップルはお互い年収が高かったのですが、男性は両親と疎遠で自分の姓にこだわりがありませんでした。一方お相手の女性は実家も財産があり、彼は女性の親とも関係が良好。婿入りの選択肢はとっていませんが、籍にこだわらずに家族になっています。

子連れで再婚する人たちも事実婚にすることがあります。母親は結婚して姓が変わるけれど、子どもは変わらない(元夫の姓)ということが起こるからで、子どもが大学を卒業してから入籍するケースが意外と多い。事実婚は、お互い親に紹介して結婚式をあげる人たちも少なくありません。「内縁の妻と夫」になり住民票も一緒ですから、将来の約束をしていない同棲とは全く違います。

(植草美幸/恋愛・婚活アドバイザー)

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