【都道府県別】地方公務員の給料、一番高いのはどこ?ランキングを発表

元公務員が「地方公務員」のお金事情を全部見せ

東京23区の経験者採用試験の申し込みが、6月20日から行われます。

ほかの自治体でも、すでに応募期間が終了しているところや、もうまもなく募集が開始されるところがあるようです。

地方自治体の職員や警察官、学校教諭などは、すべて「地方公務員」に分類されます。

地方公務員といえば「給与・雇用が安定している」というイメージを抱く人も多いはず。

一体どれくらいの給与を受け取っているのでしょうか。

この記事では、地方公務員の給与について、都道府県・政令指定都市・市区町村別に上位の自治体を紹介します。

公務員への転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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地方公務員とは

地方公務員とは、特定の地方自治体に所属して行政サービスをする職業です。

国家公務員と異なり、複数の職種が存在します。主な職種は以下のとおりです。

  • 行政職
  • 警察職
  • 消防職
  • 教職
  • 医師職
  • 看護師職
  • 研究職

業務内容は住民の暮らしや健康の相談支援、子どもの成長支援、地場産業の活性化と多岐に渡ります。

「生まれ育った地方のために働きたい」と考えている人にとっては、やりがいのある仕事です。

一方、職場環境は頻繁に変わります。職種によっては自治体の範囲内で転勤があります。

3〜4年程度で部署異動もあるため、一つのことに集中して取り組みたい人には不向きです。

地方公務員には、住民に寄り添える対話力や傾聴力が必要です。

加えて、行政職ではさまざまな知識を有するゼネラリストとしての活躍が期待されます。

地方公務員の平均年収はいくらか

総務省の「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によれば、地方公務員の平均給与月額は以下のとおりです。

【写真1枚目/全4枚】地方公務員の平均給与月額/地方公務員の給料が高い都道府県はどこ?次ページからランキングでご紹介

全職種の平均は37万158円、自治体職員などの一般行政職は35万8824円でした。

同調査によれば、国家公務員(一般行政職)の平均給与月額が40万4015円なので、国家公務員よりは給与が低くなっています。

民間企業と比較するとどうでしょうか。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」をもとに民間企業の平均年収(458万円)を月額換算すると、約38万円です。

職種によっては、民間企業よりも地方公務員のほうが給与が低いケースもあるようです。

【都道府県別】公務員(一般行政職)で年収が高いのはどこ?

総務省「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」をもとに、地方公務員(一般行政職)で年収が高い都道府県TOP10を紹介します。

なお、同調査では国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の給与水準を数値化した「ラスパイレス指数」を用いています。

この記事では、ラスパイレス指数が大きい順で高年収の自治体TOP10を掲載します。

地方公務員(一般行政職)で年収が高い都道府県TOP10
  • 1位 静岡県 102.2
  • 2位 三重県 101.2
  • 3位 愛知県 101.0
  • 4位 大阪府 100.8
  • 5位 福岡県 100.7
  • 6位タイ 東京都 100.5
  • 6位タイ 広島県 100.5
  • 8位タイ 埼玉県 100.4
  • 8位タイ 山梨県 100.4
  • 8位タイ 岡山県 100.4

東海3県がTOP3を独占しています。

ラスパイレス指数は101〜102と、国家公務員よりも多くの給与を受け取っています。

このほか、東京都、大阪府、福岡県と大都市を抱える都府県がランクイン。

また、広島県、岡山県と中国地方の県も上位に入りました。

【政令指定都市】公務員(一般行政職)で年収が高いのはどこか

地方公務員(一般行政職)で年収が高い政令指定都市TOP10を紹介します。

地方公務員(一般行政職)で年収が高い政令指定都市TOP10
  • 1位 仙台市 102.6
  • 2位タイ 北九州市 101.7
  • 2位タイ 福岡市 101.7
  • 4位 静岡市 101.5
  • 5位 京都市 101.4
  • 6位 さいたま市 101.3
  • 7位 岡山市 101.1
  • 8位 千葉市 100.6
  • 9位 堺市 100.3
  • 10位 川崎市 100.2

1位は、都道府県ランキングでは上位圏に入っていない宮城県の仙台市でした。

ラスパイレス指数は102.6と、2位の北九州市や福岡市に差をつけています。

また、都道府県でも上位に入っていた静岡県からは静岡市、岡山県からは岡山市が上位にランクインしています。

一方で、関東圏の都市の上位入りも目立ちました。

さいたま市や千葉市、川崎市など都心に近い都市は、ラスパイレス指数が100を超えています。

【市区町村】公務員(一般行政職)で年収が高いのはどこか

地方公務員(一般行政職)で年収が高い市区町村TOP10を紹介します。

なお、中核市を除く市区町村で上位10自治体を掲載しています。

地方公務員(一般行政職)で年収が高い市区町村TOP10
  • 1位 千葉県八千代市 103.2
  • 2位 神奈川県座間市 102.9
  • 3位 静岡市熱海市 102.8
  • 4位タイ 千葉県流山市 102.6
  • 4位タイ 千葉県富津市 102.6
  • 6位 静岡県三島市 102.4
  • 7位 静岡県沼津市 102.3
  • 8位タイ 千葉県白井市 102.1
  • 8位タイ 千葉県匝瑳市 102.1
  • 10位 北海道上川町 102.0

千葉県や静岡県の市が、上位のほとんどを占めています。

千葉県八千代市はラスパイレス指数が103.2と、これまで見てきた数字のなかで最も大きい数値です。

千葉県は5つの自治体が上位にランクインしており、今後就職・転職を考える人にとって人気となる可能性があるでしょう。

関東圏がランキングの多くを占めるなかで健闘しているのが、北海道上川町です。

人口は5月末で3157人ですが、国内でも随一の広さを誇る大雪山国立公園を有しており、多くの観光客が訪れます。

町トップクラスのラスパイレス指数であることから、経済や財政の潤いが予想されます。

地方公務員の収入にまつわるよくある質問

地方公務員の収入に関する質問に、元公務員の筆者が回答します。

地方公務員の初任給はいくら?

総務省の「令和4年地方公務員給与の実態」によれば、地方公務員(一般行政職員)の初任給の平均額は以下のとおりでした。

  • 大学卒:18万7686円
  • 短大卒:16万7541円
  • 高校卒:15万4142円

公務員の初任給は、民間企業と比べると決して高くありません。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに、民間企業の初任給を見てみましょう。

  • 大学卒:23万7300円
  • 短大卒:21万4600円
  • 高校卒:18万6800円

公務員とは3万円〜5万円程度の差があります。

公務員の給与は勤続年数が重要になると考えられます。

地方公務員の退職金はいくら?

総務省の「令和4年地方公務員給与の実態」によれば、地方公務員(一般行政職員)の平均退職金額は、2208万7000円でした。

これは25年以上勤続後の定年退職金の平均であり、ほかのケースでは以下のとおり金額が下がります。

  • 11年以上25年未満勤続後の定年退職:1159万6000円
  • 自己都合:255万6000円

地方公務員に転職したい場合はどうしたらいい?

地方公務員に転職したい場合、まずは自治体や組織の採用ページを見てみましょう。

試験の申込期限や応募資格をよく確認し、自分が応募できるかどうかを確かめてください。

また、試験対策も必須です。

公務員試験は、いわゆる「SPI試験」に似た内容の問題と、学生時代に勉強した一般知識問題が出題されます。

また、小論文、集団面接など、自治体ごとに独自試験を用意している場合もあります。

参考書などで勉強を進めつつ、面接対策もしておくとよいでしょう。

なお、自治体によっては社会人採用で年齢制限が設けられている場合があります。

もし地方公務員に転職したいと考えているのであれば、早めに行動するとよいでしょう。

まとめ

地方公務員の給与は、務める自治体や職種、勤続年数によって変わります。

民間企業より給与が低い時期もあれば高い時期もあるため、年収アップのための公務員転職は、慎重な判断が必要です。

一方、公務員の給与は景況に左右されにくいため、安定して一定額を受け取れるのが強みといえます。

業績を追うのに疲れたという人や安定した雇用に魅力を感じる人は、公務員への転職を検討してみるとよいでしょう。

参考資料

  • 特別区人事委員会「令和6年度経験者採用試験・選考の試験・選考区分及び採用予定数」
  • 横浜市「試験・選考」
  • 札幌市「試験概要」
  • 総務省「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
  • 国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
  • 上川町「上川町の人口」
  • 総務省「令和4年地方公務員給与の実態 初任給」
  • 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 新規学卒者」
  • 総務省「令和4年地方公務員給与の実態 団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額(定年退職-再掲)」

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