《ニュースを追って》 公的施設、盗難相次ぐ 茨城・水戸市 ブザーや格子で対策

5月に盗難被害があった水戸市消防団第19分団詰め所=水戸市小泉町

茨城県水戸市の消防団詰め所や旧公民館など公的施設で、備品が盗まれる被害が相次いでいる。盗まれたのは、発電機やエアコン室外機など。普段は人けのない施設のため、防犯カメラなどは高コストで導入しにくいのが実情。市は代替策として防犯ブザーや窓格子の設置、巡回強化などの対応に追われている。

市消防局によると、市消防団の詰め所では、消防車両をはじめ、消火活動時に現場を照らす投光器の電力用に使う発電機などを保管している。

市内では5月2日、同市小泉町の第19分団詰め所で発電機(約8万円相当)が盗まれた。同26日にも、約5キロ離れた同市大場町の第21分団でも発電機(同)が盗まれる被害が発生。いずれも窓ガラスが破られて侵入されたとみられ、消防局担当者は「最初(19分団)の盗難被害を受け、どう対策を取ろうかと考えている矢先だった」と肩を落とす。

市内では今年に入り、他の公的施設でも盗難被害が相次いだ。2~3月には市道や公園に設置された金属ふたや橋の銘板に加え、閉校した小学校にあったブロンズ像も被害に。4月には内原地区の旧公民館の分館で2回にわたりエアコン室外機などが盗まれた。

市は消防団詰め所の盗難被害を受け、市内消防団詰め所の窓枠に侵入防止用の面格子を設置したり、大音量で侵入を知らせるブザーを新たに設置したりした。

市消防局はブザー設置で「音で犯行をやめたり、市民の通報につながったりする効果にも期待したい」と被害防止に期待を寄せるとともに、「今後も防犯対策を施しながら管理に当たりたい」としている。

公的施設を狙った金属盗被害を巡っては、県警が昨年、茨城を含む3県で農業集落排水処理施設から門扉やフェンスなどが盗まれた事件に絡み、未遂を含む32件で計4千万円余りの犯行を裏付けた。県警によると、犯行に及んだ男2人は、盗品を買い取り業者に転売して換金し、生活費や遊興費に充てていたという。

県警によると、2023年に全国で認知された金属盗被害1万6276件のうち、県内は2889件と約18%を占めている。

侵入防止のため新たに設置された窓枠の面格子=水戸市小泉町

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