「避難して!」園児は走って建物へ 職員が不審者へ刺股やベンチ、カートで抵抗 狭山のこども園で訓練 「犯人は下見をする」日頃から防犯力アピールが大事

刺股で不審者役に対応する職員ら=10日、狭山市入間川

 埼玉県狭山市の未来ふじみ認定こども園で10日、不審者対応訓練が行われた。園職員と園児約120人が、避難や不審者対応の手順を確認した。

 訓練では園児が園庭で遊んでいる時間に、刃物を持った不審者が園内に侵入したことを想定。職員が不審者をなだめながら「避難して」と叫ぶと、園児は走って建物の中に逃げ込んだ。「子どもはどこだ」などと大きな声を上げて刃物を向ける不審者に職員3人で対応。刺股を奪われながらも、ベンチやカートなどで不審者が建物に入らないよう対応した。建物内の職員は110番し、放送で不審者侵入を周知。カギをかける、カーテンを閉めるなどの対応をした。

 園では例年不審者対応訓練を実施している。大原宏美園長は「児童の安全を第一に守らなければいけない。訓練を重ねることでより良い対応ができると思う」と話す。不審者役と対峙(たいじ)した職員の冨田智美さんは「怖かった。刺股の使い方を知ってはいたが、実際にやると(不審者役が)どんどん来るし、力も強いしで焦った。訓練の必要性を感じた」と話した。

 訓練を担当した狭山署の署員は「犯罪を犯す人は、どこであればやりやすいか、捕まらないかと下見をする。お迎えの時に名前を聞くなど、日頃から防犯力をアピールすることが大事」と職員に説明。子どもたちには「園では先生の言うことを守って、楽しい生活を送ってね」と呼びかけた。

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