阪神巻き返しのカギを握る男・前川 交流戦後は左投手でも先発出場する可能性十分 藤田平氏の見解

 1回、右越えに先制満塁弾を放つ前川(撮影・山口登)

 「ソフトバンク1-4阪神」(16日、みずほペイペイドーム)

 阪神が前川右京外野手(21)の2号満塁本塁打と投手陣の踏ん張りで勝ち、3連敗を免れた。デイリースポーツ評論家の藤田平氏は前川の順調な成長ぶりと積極打法を評価。オリックス戦で曽谷から2安打した“実績”から、今後は左腕投手でも継続して先発出場する可能性に言及した。

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 真ん中付近の甘い球とはいえ、前川が石川の失投を打ち損じることなく仕留めた。完璧なスイングだったね。

 満塁ホームランによる初回の4点は才木へのこの上ない援護射撃になったが、本人にとっても今後の自信につながる大きな一打になったはずだ。

 前川という選手は佐藤輝と同じで、どの打順に座ってもチャンスによく打席が回ってくる。そういうタイプの選手だ。どこか宿命のようなものを背負っているのかもしれない。

 馬力があり流し打ちもできる。何よりもファーストストライクから打っていく積極性がいい。甘い球を打ち損じているケースもあるが、ボール球を振り回す打者ではなく粘りもある。

 先のオリックス戦(6月11日)では曽谷から2安打(中前打と左前打)しているが、先々は左投手に対しても先発出場する可能性を感じる。あの試合はベンチも、交流戦後の戦い方を考えて使ったはずだ。

 打線では前日(15日)から近本を1番に戻している。4番を打っている間にボール球を振ったり、強引に引っ張ったりして打撃フォームを崩している近本には安心できる打順だろう。

 4番はそれだけ重圧がかかるポジションなのだ。私も経験があるが(田淵幸一氏の頭部死球による欠場期間中)4番を任されたときは、ホームランは増えたが打率が下がって苦労した。1、2番や3番とはまったく違うプレッシャーがあった。

 近本も重荷に感じていたと思う。あと1試合残しているが、交流戦明けまでに少しでも“頭の疲労”を取り除くことができればいいんだがね。

 攻撃面全体で課題は残るものの、その4番に入った佐藤輝が2安打したのは明るい材料だ。

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