河川「紫」なら避難を 熊本気象台が「洪水キキクル」活用呼びかけ 支流の危険度も予想

2020年7月4日午前3時50分時点の「洪水キキクル」の人吉市周辺地図。球磨川や支流の氾濫が発生する数時間前に当たり、球磨川右岸から流れ込む複数の支流が「今後氾濫する可能性が高い」とされる「紫」になっている。球磨川の「赤」は、気象庁の雨量データから国土交通省が水位を予測して共同で発表する「指定河川洪水予報」に基づくもので、支流とは別の基準。赤は、危険レベル5のうちの4を表す。(熊本地方気象台提供)

 熊本地方気象台は、河川の氾濫から身を守るために気象庁のホームページで災害発生の危険度分布を示す「洪水キキクル」の活用を自治体や住民に呼びかけている。1級河川の支流など水位の発表がない河川は、色が「紫」に変わった時が避難のタイミングという。

 支流の危険度は水位の実測ではなく、降水データを基に雨が河川に流れ込む量を指数化し、過去の災害と照らし合わせて危険度を予測したもの。今後3時間以内に予想される最悪の状況を河川の色で示す。

 2020年7月4日の熊本豪雨では球磨川の支流が氾濫、被害が拡大した。万江川も午前6時半前後に氾濫したとされるが、洪水キキクルの地図は、午前3時半過ぎの時点で当時最も危険度が高い「紫」だった。

 現在は危険度が低い順に、平常時の青を含め、黄、赤、紫、黒の5段階。黒は「重大な洪水が切迫。もしくは発生している状況」、紫は「増水し、今後氾濫する可能性が高い」ことを示す。

 熊本地方気象台の宮田浩リスクコミュニケーション推進官は「紫に変わった時点が避難を判断する一つの目安。発災後の危険な状態での移動は避けられる。スマートフォンやパソコンで探しやすいようにして、大雨に備えてほしい」と話している。(東寛明)

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