楽天はいかにして交流戦初Vを成し遂げたのか 勢いを加速させた土壇場での劇勝

 観客席に手を振る今江監督(中央)=撮影・佐藤厚

 「楽天5-3広島」(16日、楽天モバイルパーク)

 球団史上初となる交流戦優勝を成し遂げた楽天。怒濤(どとう)の勢いで勝ち星を積み上げたように見えたが、苦しい戦いの中でとにかく粘り勝っていた。

 13勝のうち実に7勝が逆転勝ち。5月31日のヤクルト戦(福島)は代打・フランコの逆転サヨナラ弾。6月5日の阪神戦(甲子園)では小郷の逆転弾。同11日の巨人戦(楽天モバイル)は、またしても小郷がサヨナラ打を放った。これら全てが九回2死で出た逆転の一打だった。

 今江敏晃監督はこう振り返る。「ビハインドが多かったけど、最後まで諦めなかった粘り強さ。うちのチームの象徴だと思う」。土壇場での劇的勝利がチームの勢いを加速させた。

 投手陣の活躍も大きかった。リリーフ陣は抑えの則本を筆頭に宋家豪、酒居、鈴木翔と勝ちパターンが抜群の安定感を誇った。さらに渡辺翔やターリーらビハインドの展開で投げる投手も懸命にバトンをつないだ。救援防御率1.78という結果に指揮官は「とにかくそこが一番」とたたえた。

 打線では不振の浅村を6試合続けてスタメンから外すという大きな決断も下した。主砲を欠いた中でも1番を務める小郷や、4番・鈴木大を筆頭につないで1点ずつ積み重ねた。ロッテ時代から鈴木大を見てきた今江監督は「優しい言葉はかけられないけど、ユーティリティーでチームを救ってくれた」と高く評価。「浅村がいなくても戦えたのは大きかった」と一丸での戦いに手応えを感じていた。

 今季のチームスローガンは「いただき!」。指揮官は「交流戦は小さないただきですけど、シーズンが終わる頃に、大きないただきを皆さんにお見せできるようにリセットして戦っていきたい」と決意を新たにした。発展途上のチームは、交流戦でつかんだ流れをレギュラーシーズンにもつなげていく。(デイリースポーツ・滋野航太)

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