全国パチンコ経営企業数及び店舗数に関する調査を実施(2024年)~2023年12月末のパチンコホール店舗数は前年に比べ526店減少の6,839店舗、店舗の減少数・減少率が改善するも、高止まりが続く~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、パチンコ経営企業及びパチンコホールを調査し、2023年12月末時点のパチンコ経営企業数及びパチンコホールの店舗数を明らかにした。

1.市場概況

2023年12月末のパチンコホール経営する企業数は1,825社となり、前年から228社減少(前年比11.1%減)した。資本や経営者などで関連する企業を集約した企業グループ数については1,447グループとなり、前年から171グループ減少(同10.6%減)した。全国で営業しているパチンコホールは6,839店舗となり、前年から526店舗減少(同7.1%減)した。

パチンコホールは業容の低迷によって、長期にわたり店舗数の減少が続いている。
2018年には遊技機(パチンコ機・パチスロ機)に関する規則が改正され、旧規則機(規則改正前の遊技機)の全てを2022年1月末までに新規則機に入れ替える必要に迫られた。パチンコホール経営企業の多くが入れ替えによる費用負担に苦しむなか、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限の影響で業容が低迷した。そのため、比較的収益力が高いとされる大手ホール経営企業であっても、新規則機移行に対応しても集客が十分に見込めない店舗について整理縮小を進めたほか、収益力の低いパチンコホール経営企業では廃業が相次いだ。
2022年については1月末の新規則機移行期限をもって閉店する店舗が急増したほか、その後も業容が回復しなかったことからパチンコホールの閉店が相次ぎ、2022年の減少数は774店舗と前年の639店舗を上回る規模となった。
2023年に入ると、新規則機移行の区切りがついたことによる入れ替え費用の軽減や、2022年11月から導入が始まった「スマートパチスロ」※によってパチスロ機を中心に業績が回復したことから、店舗の減少数・減少率がやや改善したものの、引き続き閉店数は高止まりしている。

※「スマートパチスロ(スマスロ)」とは、遊技メダルを電子データ化することで、物理的な遊技メダルを使用せずに遊技できるパチスロ機。パチンコ機でも同様の仕様となる「スマートパチンコ(スマパチ)」がある。スマパチはパチンコ機の内部に遊技球を封入して循環させることで、遊技球に直接触れることなく遊技できるというもの。共に、内規変更によって従来機と比較してスペック設計の幅が広がり、多様なゲーム性を持つスマート遊技機の開発が可能となった。

2.注目トピック~2023年のパチンコホールの新規出店数は116店舗、3年ぶりに100店舗を超える~

2023年のパチンコホールの新規出店数は前年から17店舗増の116店舗となり、3年ぶりに100店舗を超える出店数となった。「スマートパチスロ」が良好な稼働実績を示したことに伴い、大手ホール経営企業を中心に新規出店数が増加した。
また、遊技機台数1,000台以上の大型店の新規出店数は17店舗と前年から4店舗減少したものの、引き続き10店舗以上をキープしている。

3.将来展望

2022年11月から導入が始まった「スマートパチスロ」はこれまでのパチスロ機よりゲーム性・スペック設計の自由度が増したことで人気となり、低迷していたパチスロ部門の業績が回復した。特に20代から40代といった若年・壮年のパチスロファンを中心に人気を博していて、彼らに馴染みのあるアニメコンテンツを搭載した機種を中心に業績が回復している。

ただ、「スマートパチスロ」の導入にはパチスロ機本体だけでなく、「スマート遊技機専用ユニット」をはじめ、付随する設備機器を新たに導入しないといけないほか、導入工事も発生するため、システム全体での店舗への導入費用が高額となっている。
さらに、2024年は新紙幣の発行に伴う設備機器の刷新が控えており、遊技機のスマート対応に加えて紙幣改刷対応と費用負担が続くことから、今後も小規模法人や遊技機設置台数の少ない小型店舗の経営企業を中心に、企業数や店舗数の減少が続くと予測する。

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