日本ハム 新庄監督がドラ1細野のプロ初登板を甲子園に決めた理由 明かした思い

 練習を終え、引き揚げる細野(撮影・中島達哉)

 日本ハムの新庄剛志監督(52)が18日に甲子園球場で行われる阪神との交流戦最終戦の先発に、ドラフト1位の細野晴希投手(22)=東洋大=を抜てきすることを明言した。プロ初登板の舞台にあえて甲子園を選んだ思いとは-。

 細野を11日に合流させた新庄監督は「甲子園。先発で行きます。それはもうドラ1ですから、そういう場面は用意しますよ」と早々に1週間後の登板を予告した。聖地・甲子園。しかも、敵地の大声援がこだまする完全アウェー。厳しい環境でのデビュー戦となる。

 「気持ちの強さっていうところを見たいし、抑えたらめちゃくちゃ自信になる場所だしね。球数的には80ぐらい。すごいいいボール投げてるんで、期待してますよ」と話した。

 巡ってきた初舞台。細野自身は「想定よりも早かった」と明かす。もともと球団側とは「大きな目標前提。開幕とか新人王とか10勝とかでなく、彼の5年10年先のことを見定めてそれを計画していこう」(大渕スカウト部長)とじっくり育てる方針だった。それでも、今季は2軍で7試合23回1/3を投げて防御率1.54、20奪三振の成績。直近では7日の巨人戦に先発し5回2/3を2安打無失点、7奪三振の好投。前倒しで1軍切符をつかんだ。

 就任以来、新庄監督は多くの選手にチャンスを与えてきた。現在レギュラーの座をつかんだ田宮は昨季は終盤戦10試合だけ1軍登録。ソフトバンク・石川、楽天・田中将から本塁打。2盗塁も決め、強肩も披露。今春のキャンプでも1軍でアピールを続けて今がある。

 水野はキャンプは2軍スタートだったが紅白戦、練習試合でアピール。小柄ながらパワフルな打撃に、堅実な守備で遊撃手として定着した。清宮、野村らが伸び悩む中、三塁のポジションの座をつかんだ郡司、売り出し中の水谷らチャンスをつかみ取った選手が今季の躍進を支える。

 「努力は一生、本番は一回、チャンスは一瞬」。新庄監督の好きな言葉だ。「オレの一瞬のチャンスはオマリーのけがで、したこともないサードを守った試合」と振り返る。1992年5月26日の大洋戦(甲子園)、主砲オマリーの故障離脱で「7番・三塁」でそのシーズン初出場。第1打席で有働からプロ初本塁打を放った。“一瞬のチャンス”をつかんで、虎のプリンスとしてスタートを切った。

 「やっぱり最高の場所じゃないですか。最初に投げる場所としては」。新庄監督は細野のデビュー戦に、あえて甲子園というプレッシャーのかかる舞台を用意した。乗り越えた先に、未来がある。球団が「日本の山でなく世界で通じる山、野球で言えばジャパンの選手」と期待をかける大器。チャンスをつかみとることができるか。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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