ル・マン24時間はトヨタ vs. フェラーリの激戦、僅差で2位のトヨタ豊田章男会長がコメント 「結果は本当に悔しい!」

by 編集部:谷川 潔, Photo:中野英幸

ル・マン24時間レースの表彰台。優勝は50号車 フェラーリ 499P(アントニオ・フオコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)

第91回ル・マン24時間レースが6月16日16時(現地時間、日本時間6月16日23時)にゴールを迎えた。101年目となるル・マン24時間レースは、セーフティカーが夜間に長時間入る事態となったため、最後まで同一周回で多くのマシンが争うなど記憶に残る1戦となった。

とくに最終盤のトヨタとフェラーリの争いは、前年の雪辱を果たそうとするトヨタと、連覇を狙うフェラーリの強い思いが現われたものとなり、最後の最後まで結果が分からないものだった。

2位は7号車 トヨタ GR010 HYBRID(小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス/ニック・デ・フリース)

最終的に燃料がギリギリながら首位で逃げる50号車 フェラーリ 499P(アントニオ・フオコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)と、ハイパーカークラスの最後尾である23位からスタートした7号車 トヨタ GR010 HYBRID(小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス/ニック・デ・フリース)の争いとなり、50号車 フェラーリ 499Pが14.221秒差で逃げ切った。

51号車 フェラーリ 499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ)に追突されなければ首位を争っていたはずの8号車 トヨタ GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)、2度のスローパンクチャー&ハイパーカークラス最後尾から追い上げた7号車など、負けたとはいえトヨタの粘りが歴史的なレースを作り出した。

このレースについて、トヨタ自動車 代表取締役会長でありTOYOTA GAZOO Racingチームオーナーである豊田章男氏はコメントを発表。「素晴らしいレースでしたが、結果は本当に悔しい!」と語るとともに、「もう一度目指していこう!」と再挑戦を約束している。

フェラーリと激しく争うトヨタ 8号車

豊田章男氏(TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー)コメント

今年のル・マンはレースが始まる前から、そしてスタート後もずっとなにかが起きていました。

しかし一度も不安に感じることはありませんでした。

なぜなら可夢偉のチームだから…。

可夢偉がつくってきたチームを心から信じていたから…。

24時間、最後の最後まで極限の戦いをチームのみんなは戦い続けてくれました。

素晴らしいレースでしたが、結果は本当に悔しい!

「世界一のメカニックたち、世界一のエンジニアたち、世界一のドライバーたち」と、レース前に私からみんなに語りかけたけど、この悔しさをパワーに変えて、世界中からも、そう呼んでもらえるようなチームをもう一度目指していこう!

可夢偉代表よろしく頼みます!

追伸1
ホセがいてくれてよかった!
ありがとう!引き続きレクサスもよろしく。

マイク、戻ってくるのを待ってるよ。
四輪に乗ってる君の方が僕は好きだから。
そして可夢偉、予選はちゃんと完走しよう!

最後に7号車のメカニックたち。
残業ばかりのレースウィーク本当におつかれさま。
やんちゃなドライバーばかりの7号車が僕は大好きです。
大変なことは多いけど、引き続き7号車をよろしく頼みます。
今日は、ゆっくり休んでください!

追伸2
アスリート同士が戦う本当に素晴らしい24時間レースでした。フェラーリの皆さんおめでとうございます!
最後の最後まで本気で戦ってくれたポルシェ、キャデラックの皆さんも、ありがとうございました。

小林可夢偉氏(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)コメント

我々にとって非常に厳しいレースでした。勝てそうでしたが、幾つかのトラブルで叶いませんでした。我々の7号車にとって順調な24時間ではありませんでしたが、チーム全員が、この大変だった一週間を通して、素晴らしい仕事をしてくれました。全てのマニュファクチャラーが、24時間ずっと最後まで戦い続ける、信じられないようなレースでした。全てのチームが望む勝利に、我々はあと一歩のところまで近付きました。こんな接戦での今日の結果に、来年こそはもっと強くなって帰って来るという意欲が沸いてきましたし、そのために全力を尽くします。ハードワークと応援で支えてくれた日本とドイツのTGRの皆さまに感謝します。また、モリゾウさんにも改めて感謝します。モリゾウさんはマイクの骨折が明らかになってからも、また、レースウィークを通して大変なサポートを頂きました。我々はモリゾウさんと、TOYOTA GAZOO Racingとして共に戦いました。そして、来年はさらに強くなって戻って来ます。

ホセ・マリア・ロペス選手(7号車 ドライバー)

私を信頼してこのチャンスを与えてくれて、ハードワークで支えてくれた日本やドイツ・ケルンのチームスタッフ全員に感謝します。素晴らしい仕事をしてくれた可夢偉とニック、そして、メカニックにも感謝しています。僅か10日前に、マイク(コンウェイ)が負傷し、私がその代役を任されることになって以来、私の気持ちはジェットコースターのように揺れ動きました。この場で戦うことは嬉しかったのですが、彼にとっては残念なことです。そして、最後尾からスタートしたレースは天候に翻弄され、スローゾーンやパンク、その他のトラブルなどでタイムを失ったこともあり、私がこれまでに経験してきた中で最も過酷なレースでした。そのたびになんとか復帰し、力強いスピリットを証明してきました。この結果を成し遂げた全員を誇りに思います。ル・マンの総合優勝を争えるチャンスはそうあるものではないので、今日は忘れられない一日になるでしょう。

ニック・デ・フリース選手(7号車 ドライバー)

まず可夢偉とホセ、そして休みなく働き続け、この本当に難しいル・マン24時間レースで素晴らしい努力をしてくれたチーム全員に感謝したいです。こんなに難しいコンディションで、こんなに接近戦になるとは、信じられないようなレースでした。あと一歩の所までいきながら、届かなかった目標は本当に遠く感じます。それでも、チームの皆の力強いパフォーマンスのおかげで、TOYOTA GAZOO Racingのレースドライバーとして初めて参加したル・マンで表彰台に上ることができ、特別な瞬間になりました。

セバスチャン・ブエミ選手(8号車 ドライバー)

正直なところ、5位という結果は少し残念です。我々は長時間にわたって首位を走っていましたし、終盤のアクシデントがなかったら勝てていたと思います。我々のペースは良く、ミスも無かっただけに、この結果はとても悔しいです。チームは素晴らしい仕事をしてくれましたし、エンジニアも的確な戦略判断をしてくれました。ブレンドンと亮の走りも素晴らしく、我々のパフォーマンスはとても良かったと思います。今は次戦ブラジルへ向け気持ちを切り替えて頑張るだけです。

ブレンドン・ハートレー選手(8号車 ドライバー)

ファンの皆様にとっては最高のレースでしたが、この結末は本当に悔しいです。我々はレースの大半で勝利を争える位置にいましたが、セーフティカー導入時に幾つかポジションを下げ、その後再び2位まで巻き返して首位を狙いましたが、接触されてしまいました。その結果、レースの残り数時間というところで勝利の権利を失ってしまいました。掴みかけていた勝利が逃げていってしまった感じでした。チーム全員での努力の結果として、1台が表彰台に上がれたことは嬉しいですが、あと少しだったのに、という悔しさもあります。この悔しさを忘れるには、数日かかりそうです。

平川亮選手(8号車 ドライバー)

何と言っていいかわかりません。この難しいコンディションの中で、我々はチーム一丸となって全力を尽くしました。レースウィーク中はずっと頑張ってきましたし、昨年の雪辱を果たしたかったです。チャンスはありましたが、運がありませんでした。特に長時間にわたってレースをリードし、本当に必死で頑張ってきただけに、悔しいです。我々は強くなくてはなりません。残りのシーズンへ向けて気持ちを切り替え、巻き返しを図るべく、より強くなって戻って来ます。

© 株式会社インプレス