中国、海洋生態系の状況は全体的に安定

中国、海洋生態系の状況は全体的に安定

空から見た海南東寨港国家級自然保護区のマングローブ林。(2月1日、ドローンから、海口=新華社記者/蒲暁旭)

 【新華社アモイ6月17日】中国では海洋生態系の状況が全体的に安定し、一部の海域で改善するとともに、典型的な海洋生態系の劣化傾向がひとまず食い止められた。このほど福建省アモイ市で開かれた世界海洋デー・全国海洋宣伝デーのイベントで明らかになった。

 イベントで発表された「2023年中国海洋生態系警報モニタリング公報」によると、中国沿岸海域の海水は塩分濃度、溶存酸素量、PH値、化学的酸素要求量(COD)に著しい変化がなかった。無機態窒素、活性リン酸塩の濃度はやや低下し、浮遊生物、大型底生動物の種数、多様性指数は全体的に安定を維持した。地球温暖化の影響を受け、2023年夏季の中国近海の表層水温は例年より0.8度高く、観測開始以来の高水準を記録した。

 サンゴ礁、海草藻場、塩沼、マングローブ林の生態系の状況はおおむね良好だった。造礁サンゴの種類は世界で発見されている数の40%、サンゴ礁魚類は600種類近くに上る。23年のモニタリング区域のサンゴの被度は20年より上昇し、生物群集構造は全体として安定を維持した。

 沿岸海域の海草藻場分布面積は約107平方キロだった。モニタリング区域の海草の被度は20年より上昇し、水環境と沈降・堆積環境は総じて海草の生育に適していた。

中国、海洋生態系の状況は全体的に安定

湖北省宜昌市を流れる長江で姿を見せた長江スナメリ。(2021年5月11日撮影、宜昌=新華社記者/肖芸九)

 塩沼の総面積は約1132平方キロに及び、モニタリング区域の塩沼植生は生育状態が良好で、大型底生動物の生育密度は20年より上昇し、沈降・堆積環境も植生の生育に適していた。現在直面する主な問題はイネ科植物ヒガタアシ(学名:スパルティナ・アルテルニフロラ)の侵入となっている。

 中国のマングローブ林の総面積は292万900平方キロで、面積が純増している世界でも数少ない国の一つとなっている。23年のモニタリング区域のマングローブ林の状況はいずれも良好だった。

 黄河、長江、珠江の河口地域の生態系の状況は全体的に安定し、生物多様性が高まり、沈降・堆積環境も良好だった。黄河では富栄養化の水面面積が前年より減り、長江では国家一級保護動物の長江スナメリの姿がたびたび観測され、珠江ではシロイルカの個体数が安定を維持しながら増加した。

 中国が画定した海洋生態系保護レッドラインは15万平方キロ、保護海域の面積は9万3300平方キロ、整備・修復した海岸の距離は累計1680キロ近く、海浜部の湿地面積は75万ムー(5万ヘクタール)となった。

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