ド軍14人離脱の“野戦病院化” 1試合2発も重苦しい空気…大谷翔平が求める「一番の良薬」

ロイヤルズ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】

18号&19号でヒーローも…囲み取材中の表情は晴れず

■ドジャース 3ー0 ロイヤルズ(日本時間17日・ロサンゼルス)

超満員のドジャースタジアムで完封勝ち。ドジャース・大谷翔平投手は先制の中越え18号ソロ、右越え19号ソロと今季2度目の1試合2発でヒーローとなったが、囲み取材中の表情はどこか晴れなかった。それもそのはずだ。1番・ベッツの左手甲骨折が判明。山本由伸投手が右肩鍵盤の痛みで前半戦の復帰が絶望的となった。

「チーム全体にとってタフな瞬間ではあると思う。欠かせない選手だと思いますし。ただ、起きたことは起きたこととして、本人の早期回復を祈りながら、チームとしてカバーできるように頑張りたいと思います」

MVPトリオの一角が欠けるのは大きな痛手。山本は後輩に当たるが、水原一平被告の裏切り行為など激動の時を送った時に大谷自身、支えてもらっていたことが大きかっただろう。

「前の登板から次の試合に人一倍頑張っていたと思います。ケア不足というのはないと思います。全部を全力でやっているのを見ているので。本人が一番悔しいとは思います。本当に早い段階で帰って、いい状態で投げられるようにサポートしたいと思います」。表情の晴れなかった7分間の囲み取材。言葉の端々に力がこもった。

クラブハウスの空気も重かった。右上腕の張りを訴えていた山本の姿はクラブハウスになく、床には練習の“相棒”ジャベリックスロー用やりが無造作に置かれていた。ただ、他の選手にはある遠征用バッグだけが見当たらなかった。ベッツの左手はテーピングでグルグル巻きに。「今できることは何もない。今後は分からない」。鎮痛の面持ちだった。

大谷自身はエンゼルス時代に盟友・トラウトの負傷離脱など困難な状況をいくつも経験。その度に「勝つことが一番の良薬になる」と繰り返してきた。シーズンは162試合と長丁場。「みんなでカバーしていくしかないのかなと思います」。チームの負傷者リスト入りは14人と苦しい。ワールドシリーズ制覇へ底力が試される。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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