バスケ日本代表初ドキュメンタリー映画が大ヒット Bリーグ入場者数は前年比4割増で史上最多 「事業性・競技性・社会性での知恵が特徴」

バスケットボール日本代表のドキュメンタリー映画が大ヒットしている。W杯での歴史的な勝利とその舞台裏を描き、観客に感動を呼び起こしている。専門家は、この映画が日本バスケ界の成長と人気を支える重要な要因になると評価する。

日本バスケ映画公開で熱狂再び

2024年7月に開幕するパリ五輪。熱い戦いをさらに盛り上げる試みが始まっている。

映画「BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち」は、6月第2週目の週末の全国映画動員ランキングで、10位にランクインし、スポーツドキュメンタリーとしては、 “異例”とも言える大ヒットスタートを果たした。

観客:
初日に絶対見ようって決めてました。最高でした。(推しは)比江島選手です。

この夏、“AKATSUKI JAPAN”の熱い戦いが期待される中、2023年夏の感動と熱狂をもう一度呼び覚ます、バスケ日本代表初となるドキュメンタリー映画が公開した。

熱を冷ますことなく、最高の盛り上がりストーリーをクリエイトし続ける、バスケ界の試みとは――。

Bリーグは前年比41%増の過去最多入場者数

48年ぶりに自力での五輪出場を決めた、FIBAワールドカップ2023。

その舞台裏を描いた、映画「BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち」が6月7日金曜日から、4週間限定で上映されている。

強豪国がひしめく「死のグループ」で、国際大会では初となるヨーロッパのチーム相手に歴史的な勝利を飾った一戦をはじめ、ロッカールームに響くげき、密着カメラだからこそ捉えることができた表情や空気、熱狂の物語がスクリーンによみがえる。

今回、ナレーションは、代表の戦いを会場で見守った広瀬すずさんが担当。さらに、トム・ホーバスヘッドコーチや選手による、日本バスケにかける知られざる思いも語られている。

パリ五輪を控えるタイミングでの映画の公開に、観賞に来た客はこう語った。

観客:
オリンピックに向けて、また応援しようと言う気持ちが高まるんじゃないかと思います。

W杯を現地観戦した観客:
感動した夏、去年の夏を思い出せる。オリンピックにも、観戦に行きます。

2023年夏のW杯を経て開幕したBリーグは、前年比41%増の過去最多入場者数を記録し、そして、6月末からは国内で代表戦、7月末には五輪開幕を迎える。そんなリーグと代表戦をつなぐのが、今回の映画だ。

日本バスケットボール協会・新出浩行シニアマネージャー:
映画という、バスケットボール界では、今までないような機会をいただいたことによって、よりバスケットボールを応援してくれる人たちとも接点、きっかけ作りというものには間違いなく、繋がっている。

“熱狂”を“熱狂”で終わらせないため、最高の盛り上がりストーリーを描いていた。

日本バスケットボール協会・新出浩行シニアマネージャー:
(試合以外の期間で)どれだけ色々なことをクリエイトしていけるか、それをちゃんと自分たちのチャンスに繋げて、つかんでいくかということが大事だと思う。

事業性、競技性、社会性での知恵が特徴

「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫氏に話を聞いた。

海老原優香 キャスター:
ここまでの盛り上がり、松江さんはどんなことが理由だとお考えですか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫氏:
日本バスケ界の熱狂を支えている最大の要因は、Bリーグ人気があります。Bリーグ設立からの8年で入場者数は2倍に、コロナ禍でもスポンサー収入の増加により営業収入は3倍強に伸び、大きく成長しました。

この背景には「後発だからこその知恵」があります。野球やサッカーと比べて、バスケはスポーツビジネスとして後発だったからこそ、知恵が求められます。

海老原キャスター:
具体的には、どういったことなんでしょうか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫氏:
事業性、競技性、社会性の3つの観点での知恵を絞った取り組みが特徴です。

事業性は、エンターテイメント性を徹底的に追求したことです。試合前後や試合の間も、スポーツ×音楽×ダンスの非日常な演出の工夫により、“ライブスポーツエンターテイメント”として、観戦体験の満足度を高め、若い世代を中心にファンを増やし続けています。

海老原キャスター:
次の、競技性についてはいかがですか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫氏:
競技性は、資本力の制約を減らして、平等に競い合う仕掛けの導入が特徴的です。

具体的には、2026年から報酬上限の設定による戦力均衡化、競技成績による昇降格ルールの撤廃を行い、資本力の小さいクラブでも優勝争いできるようにし、お互い切磋琢磨して、全体の競技レベルを上げる工夫がされています。

海老原キャスター:
3つ目の、社会性についてはいかがでしょうか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫氏:
社会性に関して、競技場所である体育館を「夢のアリーナ」として捉えて、多目的の交流拠点として地域活性化の核にしていることです。

実際に、沖縄では、地元商店街やホテルとの連携で賑わいを作ることや、静岡県では、アリーナをスポーツ教育、教育施設、防災拠点として活用する予定などがあります。

持続可能には「人間力が求められる」

海老原キャスター:
ここお台場にも、2025年にはバスケットの新しいアリーナが完成する予定です。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫氏:
これからも「後発だからこその知恵」がもたらす三位一体での好循環によって、バスケ界が盛り上がり、パリ五輪の後も人気が継続してゆく展開に期待します。

海老原キャスター:
Bリーグの島田チェアマンにお話を伺った際、Bリーグをさらに持続可能なものにするためには、人間力が求められると、おっしゃっていました。今回の映画は、スポーツマンシップや、人間性を学ぶ機会にもなりそうです。
(「Live News α」6月14日放送分より)

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