インタビュー:国債買い入れ減額、月2兆円が有力 利上げは秋以降=桜井元日銀委員

Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 17日 ロイター] - 元日銀審議委員の桜井真氏は17日、ロイターのインタビューで、日銀が7月の金融政策決定会合で打ち出す国債買い入れの減額幅について、2024年度の国債発行予定額などを踏まえれば月2兆円が有力との見方を示した。25年度に償還が急増することから、1兆円になる可能性もあるとした。政策金利の引き上げについては、住宅投資が弱いことから7月会合での決定は見送り、秋以降になるとの見通しを示した。

日銀は13―14日の決定会合で国債の買い入れ額を減らす方針を決め、次回7月の会合で今後1─2年の具体的な計画を決定するとした。

2021年3月末に審議委員を退任した桜井氏は、円安が進んだことで国債買い入れの減額が日銀の想定時期より早まったと解説した。

<買い入れ減額、国債管理政策との関係がカギに>

桜井氏は、日銀が国債買い入れを減額するに当たっては、財務省の国債管理政策との関係が重要になると話した。

日銀は3月会合以降、月6兆円程度の買い入れを継続してきたが、買い入れ額が償還分と同程度だったため、日銀の国債保有残高は600兆円程度で変化してこなかった。

桜井氏は「将来の補正予算などを考えると、月2兆円の減額が落としどころではないか」と述べた。もし買い入れ額を月3兆円にすると年36兆円になるが、これは24年度の当初ベースの新規国債発行額約35兆円とほぼ同じで、落としどころにするのはやや難があるとの見方を示した。

財務省によると、25年度の国債の償還予定額(24年度当初予算ベース)は150兆円と24年度の74兆円から約2倍に急増する見込み。この点を考慮すれば、日銀の買い入れの減額は月1兆円にとどまる可能性もあるとみている。

桜井氏は、日銀が打ち出す減額計画は、詳細なものというよりは大まかなものになるとの見方を示した。現行の買い入れ額のレンジ「5―7兆円」に対し、「4―6兆円」として月1―2兆円の減額が柔軟にできる仕組みにする可能性があると述べた。

植田和男日銀総裁は14日の記者会見で、国債買い入れの減額は「相応の規模になる」と述べた。

日銀が国債買い入れを減額していけば、長期金利は上昇していく可能性がある。桜井氏は、長期金利の動きが設備投資に影響する可能性があるが、良好な企業収益に支えられて設備投資は底堅さを維持するとの見通しを示した。

日銀としてバランスシートの縮小に早く取り組むことになったため、日銀が保有している上場投資信託(ETF)の取り扱いについて「若干検討が早まる可能性がある」とも述べた。

日銀の加藤毅理事は3日の国会で、ETFの処分を含めた今後の取り扱いは「ある程度時間をかけてしっかり検討していきたい」と話している。

桜井氏は、変動金利型の住宅ローンへの影響が大きい政策金利の引き上げは秋以降になると予想した。経済と物価が日銀の想定通りに進めば、25年中にも0.5%まで上げる可能性があると述べた。

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