かつては水族館も… 100年の歴史ひもとく記念行事 東北大・浅虫海洋生物学教育研究センター(青森市)

初代所長・畑井新喜司の写真を示しながら講演した太田原氏
旧水族館の様子などを紹介するパネルに見入る市民ら

 青森市浅虫にある東北大学大学院の研究施設「浅虫海洋生物学教育研究センター」が来月、創立100周年を迎えるのを前に、同センターは15日、道の駅「ゆ~さ浅虫」などで記念行事を開き、関係者と市民ら約120人が施設見学や講演を通して地域とともに歩んだ施設の歴史を振り返った。

 会場には昭和初期の浅虫の様子が分かる絵はがきや版画などが展示され、1984年に閉館した併設水族館を懐かしむ人の姿が多く見られた。

 講演会の冒頭、熊野岳センター長は「(前身である)臨海実験所の併設水族館には地域の人が常時訪れており、当センターは地域とともにあった存在。実験所が存続・発展したのは地域の方々の支援のおかげ。学術面の成果だけでなく、浅虫の人々にもフォーカスして100年を振り返りたい」とあいさつした。

 講演会は、県立郷土館学芸主幹の佐藤良宣氏が浅虫の歴史を、太田原慶子氏が県民や市民にとって実験所や旧水族館が県民の知的好奇心を満たす施設として愛されていたことを、資料をひもとき解説。初代所長で平内町小湊出身の生物学者・畑井新喜司(しんきし)=1876~1963年=の功績も紹介した。

 また、青森大学元教授の沼宮内隆晴氏ら3人がホヤや二枚貝など同実験所での研究成果を報告した。この日はセンター内を見学する時間も設けられた。

 青森市の無職山口幸子さん(86)は「子どもの頃から浅虫に行くのは一大イベントだった。今回、研究所を見学できて、旧水族館に行った思い出がよみがえった」と話した。

© 株式会社東奥日報社