主婦で「アルバイト」として働いています。あとから入ってきたパートの人の時給が「100円」も高いのですが、パートとアルバイトで時給が違うのはなぜですか? 待遇が違っても問題ないのでしょうか…?

アルバイトとパートの定義

まず、そもそも「アルバイト」と「パート」に違いはあるのでしょうか。

アルバイトとは、ドイツ語の「Arbeit」を語源としています。昔、学生が学校のあとに家庭教師をしてお金を稼ぐことを「アルバイト」と呼んでいたのが今に通じています。そのため、アルバイトは10代~20代の若者がおこなう時間制の仕事、というイメージが定着しているわけです。

一方、パートとは、英語の「part time」を語源としており、短時間労働という意味です。フルタイムで働けない主婦(夫)が、家事の合間に働くことを「パートタイム」で働くという意味で使っていました。そのため、パートという言葉には、主婦(夫)が時間制の仕事をするというイメージがついています。

しかし、法律的にいえば、アルバイトもパートも同じ「パートタイム労働者」です。厚生労働省によると、パートタイム労働者とは1週間の労働時間が、同じ職場の通常労働者の1週間の労働時間より短い労働者と定義されています。

アルバイトとパートの待遇の差をつけるのは構わない

アルバイトとパートは、法律的には同じ「パートタイム労働者」です。

しかし、同一であるにも関わらず、採用募集で時給が違うケースもあります。アルバイトとパートで時給が違う場合は、採用募集している勤務条件が異なるはずです。

例えば、アルバイトは一定の業務に制限して勤務させ、パートは正社員の業務範囲に近い仕事をするなどの場合です。このような場合、アルバイトとパートとで時給の違いがあってもいいとされます。

もちろん、勤務条件の違いによる時給の差がついていれば、数年勤務しているアルバイトよりも働きだしたばかりのパートのほうが時給は高いということもあるでしょう。

勤務条件が同じなら賃金の差はつけないよう推奨されている

働く条件が違う場合、時給に差がつくことは前記のとおりですが、同一労働・同一時間であるにも関わらずアルバイトとパートの時給が違う場合はどうでしょうか。

厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」では、同一労働・同一時間の場合、賃金の差をつけるのはよくないとしています。同一労働同一賃金ガイドラインは、正社員とそのほかの雇用形態の人との差をつけないように指導するものです。当然ながら、同一の雇用形態の人でも同じ勤務条件であれば差をつけてはいけません。

ただし、あくまでガイドラインであるため、法的拘束力はなく、違反しても企業に罰則はありません。まだ法的な整備が進んでいないところが見受けられるため、アルバイトとパートとの違いが是正されることが待たれます。

まとめ

アルバイトとパートは法律では同じ「パートタイム労働者」とされており、基本的には時給の差はありません。しかし、勤務条件が異なれば、アルバイトとパートとの時給の違いが出ます。例えば、業務に対する責任が重い、業務の範囲が広いなどです。

ただし、同一労働・同一時間の勤務にも関わらず、アルバイトとパートで時給の差をつけるのはよくないとされています。この考え方に法的拘束力はありませんが、同一条件なのにも関わらず、あまりにアルバイトとパートで時給が違う場合は労働基準監督署に相談するのもいいでしょう。

出典

厚生労働省 パートタイム労働者とは
厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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