娘がスピード婚します。相手は小学校の教師なのですが、収入は安定しているのでしょうか? 娘の将来が心配で、つい気になってしまいます

平均年収は42歳で約667万円

総務省「令和4年地方公務員給与実態調査」によると、小・中学校(幼稚園)教育職の平均基本給月額は約38万円、これに約168万円の期末手当、勤勉手当を加算して算出すると年収は約625万円となります。実際には、地域手当、扶養手当、通勤手当などの加算を併せて、約667万円になると考えられます。

ここで、教員の平均年齢が約42歳であるということを考え合わせると、勤続年数20年での年収となります。

よく住宅ローンなど長期のローン契約を締結する場合、教員などは安定しているので審査通過の可能性が高いなどといわれるゆえんです。

安定した収入が得られる仕事を辞めるケースとは

統計から、平均年齢が約42歳(推定勤続年数20年)で平均年収が667万円という数字からは、安定しているといえるでしょうが、20年の勤続年数は継続する忍耐力が必要です。特に最近では、労働時間の問題や生徒への接し方についてさまざまな問題が報道されていて、教員という職を継続しない(できない)ケースも散見されます。

転職する先は、人それぞれです。学校では、自分より年下の生徒に対してさまざまな形での教育を提供することが日常業務ですが、それ以外にも保護者への対応、外部業者との折衝など広い年齢層に対して柔軟に対応していくことが求められます。

この経験から、折衝・交渉の仕事にやりがいを見いだす場合もあります。そうはいっても、やはりよく見られるのが、同じ教育業界で学習塾や予備校のような補習型のサービス業に転職するケースです。

仮に現在の平均年齢に至る前に退職した場合には、給与面や福利厚生での安定さがなくなること、「地方公務員」から「一般企業」への考え方のシフトに若干時間がかかるという話を聞きます。

教員など「地方公務員」は景気の良し悪しに左右されませんが、一般企業は景気が悪いときには、積極的に営業活動など自社のよさをアピールして顧客を呼び込む必要があるかもしれません。

娘の覚悟をもっての選択を応援してあげよう

どうしても、一般的な評判を聞いて周りは不安になったり安心したりしがちですが、職業を選択するのは本人の意思です。「安定した収入」が約束されていても、それ以上に自分らしさを発揮できないと判断すれば、別の職業を選択することになるのでしょう。

そのような事態になった場合に、親御さんとしては新たな不安材料が生まれるでしょうが、仕事は収入を得る手段以上の価値を求めるものです。

小学校の教員になるためには、地方公務員の試験に合格しなければなりません。関門を突破するまでの努力の過程を考えれば、別の職業に就くことになったとしても、結婚相手と十分話し合って覚悟をもって選択したのですから、見守ることしかできないかもしれません。

仕事は、最も活動的な時間を最も自分らしさが発揮できるものに費やすべきものですから、小学校の教師を継続しても、ほかの職業に転職してもお嬢さまの家計運営を応援してあげることがベストでしょう。

出典

総務省 令和4年地方公務員職種別職員の実態額 第5表 職種別職員の平均給与額
文部科学省 令和4年度学校教員統計(学校教員統計調査の結果)確定値を公表します。

執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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