センチュリー、新型災害救助用AIドローン「D-HOPEⅠ-J01」を一般初公開

by 青山祐介

ポータブルバッテリーをはじめ、災害対応ソリューションを展開するセンチュリーのブースでは、災害救助用AIドローン「D-HOPE」シリーズを展示していた。特に、3月29日に航空法上の無人航空機に対する第二種型式認証を受けた「D-HOPEⅠ-J01型」は、ドローン関連の展示会において初めて一般に公開される場となった。

多様なアタッチメントで災害救助に活躍するD-HOPEドローン

2018年からセンチュリーが日本市場で展開する「D-HOPE」は、豊富なアタッチメントを交換することで、さまざまな用途に対応する災害救助用ドローンだ。約1.4mスクエアの二重反転式オクトコプターで、最大5kgのペイロード性能を有している。カメラや照明、拡声器のほか、救命胴衣や浮環、消火剤といった防災・救難用途の純正アタッチメントが用意されており、これらを換装することでさまざまな用途に使うことができるのが最大の特徴となっている。ブース中央ではこのD-HOPEⅠの機体とアタッチメントの一部を展示していた。

センチュリーの災害対応ドローン「D-HOPEⅠ」。
警告ライト付拡声器モジュールや消火剤投下モジュールなど、D-HOPEシリーズ用のアタッチメント。

さらに、ブース奥には第二種型式認証機である「D-HOPEⅠ-J01」を展示。同機は今年1月に型式認証の申請が受理され、3月29日に認証を受けたモデルだ。従来のD-HOPEシリーズは中国で生産した機体をセンチュリーが輸入する形であったが、D-HOPEⅠ-J01では日本市場向けとして同社が設計を行い、中国で生産したパーツを日本で組み立てる形で「国産化を実現した」(説明員)という。また、D-HOPEⅠ-J01は「オフラインの運用が可能で、データ流出のリスクが低い」(説明員)としている。

第二種型式認証機である本機は、操縦者の技能証明や運航マニュアルといった要件を満たすことで、特定飛行にあたる目視外飛行の承認を省略したカテゴリーⅡBとしての扱いが可能だ。「映像伝送ができること。カメラで周囲の状況を確認できることといった目視外飛行に必要な要件を、機首に付いたカメラと下方に向けた2つのカメラで満たしている」(説明員)としている。

3月29日に第二種型式認証を受けた「D-HOPEⅠ-J01」。

型式認証機としての扱いの場合は、D-HOPEシリーズ用に用意されたアタッチメントのうち、物資輸送ウインチモジュールのみが対応。数あるアタッチメントの中でウインチを選択したのは、「D-HOPEシリーズでニーズが高いアタッチメントは、ウインチと拡声器、浮き輪。特にウインチは物資を投下するのではなく、着地させることができるからニーズが高い」(説明員)という。

なお、ウインチ以外のアタッチメントを使用する場合は、型式認証機としての扱いを受けないため、特定飛行の場合は航空法上の飛行の許可・承認が必要となる。「今のところ型式認証の変更といった形で、ほかの対応アタッチメントを増やす予定はない。ただし、機体は型式認証を受けており、国に安全性について担保をいただいたことをお客様に案内していきたい」(説明員)としている。

なお、これまでD-HOPEシリーズは販売ではなくレンタルおよび飛行役務の提供のみであった。今回、型式認証機としてのD-HOPEⅠ-J01の登場で、販売を開始するとしている。また、同社のブースで配布された資料の中には、VTOLモデル「D-HOPEⅡ」を開発中であり、2024年内に発売予定という記述があった。

型式認証を受けた唯一のアタッチメントである「物資輸送ウインチモジュール」。

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